荒れ果てた楽園


止まらない、止まらない

いくら食べても、、、、満足しないんだ。





ユトは真っ暗な部屋の片隅で、食事をしていた。

否、これを食事と呼んでいいのかは疑問だ。

弁当、パン、ケーキ、スナック菓子、ありとあらゆる食べ物を周囲に並べ、手当たり次第に口の中へ押し込んで行く。

噛む事も惜しみ、詰め込むように喉の奥へ流し込む。

人よりも大き目の瞳には涙が浮んでいるが、そんな事を気にもしない。

「あ、、あぁ、、、、」

指先は震え、苦しげにも見える。

それでも、食べ続ける事を止めなかった。

ユトはもうじき18歳になる少年だったが、見た目はとてもそんな年に見えない。

痩せてガリガリな身体に、平均よりも低い身長。

大きな瞳に肩口にかかる程度の髪が少女めいていて、せいぜい15歳くらいにしか見えない。

「、、、ユト?ユト?もう止めよう?」

醜く食べ物をほお張る顔を上げると、いつの間に現れたのか、ユトの前に一人の青年が立っていた。

彼はサヤと名のユトの実の兄だ。

「、、、、、、、」

ユトは、何も言葉に出来ず、ただ黙ってサヤを見上げた。

瞳に溜まっていた涙がついに溢れ、ユトの白い頬を濡らす。

「ユト、大丈夫だから。な?」

サヤの手がユトの頭に触れようと伸ばされたが、それを避けるようにユトは立ち上がる。

周りの食べ物を踏みつけ、フラフラと今にも倒れそうになりながら部屋を出て行った。

「待って、ユト。止めよう。もう、止めてくれ。」

サヤの悲痛な声は、大声を出す気力も無いとばかりに極々小声でユトには届かない。

当然のように止まる事無くユトはトイレへと入って行った。

そこで何がおこなわれるか解っていても、何処か諦めたようにサヤは其処から動かないでいる。

「げっ、、、うっえぇ、、、」

扉越しにもはっきりと聞こえるユトの嗚咽。

ハッと我に返ったように、サヤは早足で其処へと向かった。

鍵の掛かっていない扉を開く。

果たして其処には、想像通り便器に顔を埋めるようにし蹲るユトが居た。

見慣れた光景だ。

ユトは毎度の食事で、大量に食べ物を摂取し、全て吐き出す行為を繰り返していた。

身体の仕組みに詳しいわけではないが、そんな事が身体の負担にならない訳がない。

それは多分、二人ともが解っていて、どちらも止める術を知らないでいる。

サヤはユトの傍らにしゃがむと、ユトの背中を優しく撫でた。

「大丈夫、、、大丈夫だから」

まるで自分に言い聞かすように繰り返しながら、ユトが落ち着くまで何度も言った。

「ハァ、、、、はぁ。兄さん、、、僕、汚い?」

吐瀉物を口の周りに付けたユトが顔を上げた。

青白い顔が、目の周りだけ真っ赤になっている。

涙も枯れたその瞳は、何も写っていないように虚ろだった。

「そんな訳ないだろ?ユトはいつでも可愛いよ」

「僕の事、、、、、、好き?」

「あぁ、誰が何と言おうと、俺はユトが世界で一番大好きだよ」

「、、、、、、良かった」

フッ、、、とユトの意識はここで途切れる。

この会話も行動も毎度の事ではあった。

近親相姦・同性愛。

神が禁じたこれらが、ここまでユトを追い詰めるなんて。

サヤは意識を失ったユトの身体を抱き上げるとベッドへと運んで行った。

そっと降ろすと、気を失ったままのユトに覆いかぶさりながら、その自身に触れた。

成長途中のまま止まってしまったようなそこは実に小さい。

唇を重ねあい、口の周りの汚れたモノを舐め取る。

舌を潜り込ませ絡め合っても、ユトは目覚めない。

ズボンと下着だけを脱がし、自分のズボンのフロントを寛げると既に立ち上がっている自身を取り出し、ユトの蕾にあてがった。

先端から姿を見せた蜜をその小さな蕾になすりつけ、グイっと力を入れて入り込む。

「んっ」

内壁に自身が触れる快感に、サヤは鼻を鳴らす。

慣らしていないためか、メリッと嫌な音がした。

死んだように動かないユト。

けれど小さいながらにしっかりと立ち上がった自身が、生きている事を示した。

「んっ、、、ユト、、、ユト」

ユトの折れそうに細い腰を支えると、サヤは腰を降り始めた。

すぐにそれは激しい動きになった。

「あっ、、あぁ、、、ユト、、うっ」

早々に一人達すると、ユトの中から自身をズルリと引き抜く。

ユトの隣に同じように横たわると、下半身だけ何もつけていないユトの身体をしっかりと抱きしめた。

「俺が、付いているから。ずっと居るから」

耳元で囁くと微かにユトの瞼が震えた気がしたが、すぐにまた動かなくなった。

食べ物の腐った腐臭、吐瀉物の悪臭、精液の異臭が交じり合い、その臭気は劣悪だったが二人が気づく事はないだろう。

犯された脳と心は、薬では治らないのかも知れない。

「いつか、行こうな。俺たちだけの ━━━ へ、、、」


【完】