三城×幸田・出会い編・2



何事も完璧主義な三城の、事故後の対応も迅速だった。

救急車を呼び、その間に保険会社に連絡を入れ、警察にも届ける。

相手の症状が解らないので無闇に動かしはしなかったが、触れた頬の暖かさから生きている事は確認した。

もっとも、事故の衝撃から気を失っているのか、酔いで眠っているのかも解らないのだが。

救急車を呼ぶ際、患者の現状を伝えなくてはならず、相手の顔を覗き込んだ。

どうして俺が地にへばりつくような真似を、と憤ったが、目の前に居る患者の事を「知らない」で通せるとも思えない。

その結果解ったのは、相手の端正な顔立ちだった。

こんな美麗な男を見た事は無いと三城は思った。年の頃は三城より一つ二つ若いくらいだろうか。

三城も、思春期の頃から今も継続してモテた方だ。

けれどそんな三城とは種類が全く違う。

純日本人ながらに、どこか西洋めいた彫りの深さと色素の薄さを見せる三城に対し、この男は日本人形のような、と喩えれるような凜とした面持ちをしている。

今は伏せられている睫は黒ぐろと長く、瞳は切れ長だと教える。

薄い唇や頬は血の気を失せているが、通常も色は白いだろう。

そんな男から酒臭がしている事に違和感を覚えた。

微かに、というレベルではなく、思わず鼻頭にシワを寄せてしまうほど臭い立っているのだ。

深酒をするタイプには見えないのに、と三城は今し方顔を見ただけの男を評し、遠くに救急車のサイレン音を聞いた。



 
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