三城×幸田・出会い編・3



男の名は幸田恭一【こうだ・きょういち】。

年齢は26歳。

職業は予備校の講師。

独身。

身に着けていた財布に保険証などが入っていたため身元を知るのは簡単だった。

警察がすぐさま調べたが、親類の類は居ないようだ。

念の為自宅に電話をかけたようだが誰も出ず、一人暮らしのようだとも解った。

三城は別段そんな事を知りたいとは思わなかったが、親切心から教えてくれる警察官や看護士を無碍にも出来ず、気のない返事を返した。

入れ替わり立ち替わり情報を伝えてくれる人達を内心うんざりしつつ、それでも三城を非難する者が居ない事に安堵する。

幸田が素人目にも解るほど泥酔していたからだ。

そのため、引いてしまった三城の方が被害者のように皆扱ってくれる。

誹謗中傷自体は構わないのだが、警察沙汰になると面倒だ。

加害者、被害者以前に、警察の世話になっているというだけで世間の目は痛い。

それ以上に、警察や裁判所に通う為に仕事時間を減らされるのが辛い。

穏便に済ませれるなら金くらい、、、そう思っていたがそれすらも不要かもしれない。

ベッドが二台すれ違えるだけの幅の廊下にある、病院特有の堅いベンチのような椅子の上で三城は長い足を組み替える。

反対側にある扉の中では幸田の処置が続いているらしい。

早く帰りたいと思いながらも立ち上がる事のない三城は、強い欠伸を噛み殺した。



 
*目次*