偶然か運命か・編・08



 ベッドルームが三部屋もある、無駄に広いスイートルーム。
 自身以外に五人の男が居る部屋で、智は麻縄で縛られメインルームに転がされていた。
「はっあっ……」
「うるさいね。ほらちゃんと咥えて?」
「ん……」
 口にはベルト式のボールギャグ。麻縄は後手縛りにされ、腕は一切身動きが取れない。足にはベルト式の拘束棒を付けられ、閉じる事が出来ない。つまるところ、どこをとっても自由がない状態だ。
「じゃぁ、休憩もしたしもうここ、大丈夫だよね」
 ニコリと品良く笑った男は、洗濯ばさみを智の前に見せた。
「ヒッ」
「動いたら駄目だよ。分かってるよね」
「んっ……」
 乳輪を摘まみ、立たせた乳首に洗濯ばさみを挟む。ただそれだけならば、専用のクリップの方が痛みはある。しかし。
「両方つけないとね。でも、これぐらいじゃ君はなんてことないでしょ。ね?」
「んーあああっ」
 ボールギャグを噛まされている故にまともに出せない声を絞り出す。
 男は、乳首を挟んだ洗濯ばさみを更に指で押し潰した。その上、それを捻る。
 潰される痛みと、捻られる苦痛。部分的な痛みだというのに、全身に痺れが走るようだ。
「あーぁ。洗濯ばさみ、そんなに良いんだ?こんなにちんこおっ立ててさ」
 乳首を弄ぶ男とは別の、一般的に可愛い部類に入るだろう男が開いた智の足に跨がるように座る。
 そして、中心で見事に起立する智のペニスにそっと指先で触れた。
「ふっうっ……」
「ねぇ。ここ、触ったら気持ち良いだろうね。まぁでも、そんな事してあげないけど」
 さも楽しげに笑ったその男は、ベッドの上に散らばる洗濯ばさみを一つ拾い上げた。
「そんなにこれが好きならさ、このみっともなく立ってるちんこにも、つけてあげるよ」
「あっ、あぁ-」
 嫌だと叫びたい。しかし智にはそれが叶わない。
「何? 想像しただけでこんなに汁垂らしてんの? ほんと、変態」
 男が、智の竿の皮をひっぱり、そこに洗濯ばさみを挟む。見てはいないのでどこに何個付けられたのかまでは分からない。しかし痛みが増えるのは分かる。
「こっちにもいるよね」
 一体何個の洗濯ばさみが用意されているのか。
 男はそっと睾丸に触れると、そこにも洗濯ばさみを挟んでいった。
「出来た。何個付いてるかな。一個、二個……十五個」
「君は優しいね。こんな良い場所を残してあげるなんて」
「ふっ……」
 また別の男の声が聞こえ、彼が亀頭に触れたと知れる。
「汚い汁まみれなんだもん。触りたくなかっただけ。ほらまた」
「あぁあ。汚いって言われたのが興奮しちゃったかな。ね?」
 その男が亀頭の肉をつまみ上げた。
「うっうう……う……」
 そこだけは。そこだけは、止めて欲しい。
 知らず内に閉じていた瞼を持ち上げ、首を横に振る。
 しかし誰も、笑みを浮かべるばかりで止める素振りなど見せはしない。
「今十五個なんでしょ。じゃぁ切りよく五個付けて二十個にしようね」
「うっあぁー」
 どこをどうされたのか。鋭い痛みが走る。
「さぁ、出来たよ」
 言葉通り亀頭に五個の洗濯ばさみを付けたのだろう。動けない身体で懸命に身体を捻ろうとした。
「勝手に動くな」
「あっ」
 それまで黙って見ているだけであった胸元に腰を下ろす男が、智の乳首に填められた洗濯ばさみを強く捻り上げた。左右同時にそうされたので、思わず胸を反らせる。
 ただ挟まれているだけならば、乳首のそれはペニスよりも痛みが少なく、いっそ存在を忘れていた。しかし捻り上げられるとどうだ。
 苦痛の声が上がり、飲みきれなかった唾液が頬をつたい落ちる。
「良い顔だな。こっちはどうだ?」
「はっ」
 また別の男の声が聞こえ、バシリと、洗濯ばさみだらけのペニスを叩かれる。
 それは、どうにも表しがたい程の、激痛と呼ぶにはぬるすぎるような激しい痛み。
 生理的な涙が溢れた。
「はっ……」
 四人の男達はさも楽しげに笑っている。
 そんな中、薄ら目を開いた智の先には、一人の男が座っていた。
 ただただ眺めるだけ。その眼差しは、威圧的な中にも暖かみを感じさせる不思議な物だった。
「そろそろ俺も参加するか」
 立ち上がったその男を視線で追いながら、痛めつけられ続けている智の敏感な部分は、どこも嬉しげに立ち上がっていた。


  
*目次*