GW最後の一日・編・7



夕食は、和食が食べたいという三城のリクエストに応え焼き魚と煮物と味噌汁となった。

質素過ぎる気もしたけれど、外食続きで疲れた胃には丁度良いだろう。

久しぶりの幸田の手料理に、椀を片手に三城は深く吐息を漏らした。

「恭一の味噌汁を飲むと落ち着く」

「そんな、大したものじゃないよ。目分量だから毎回味違うかもしれないし」

「そういう問題ではない」

では何処がだ、と思わなくもないのだが、呟く三城が頬を綻ばせているので良い事にする。

彼と過ごすようになって本格的に始めた家庭料理は、まだまだ初心者レベルだけれど、こんな程度でも彼が喜んでくれるからとても嬉しい。

「日常、って感じだね」

「なんだ、それは」

「旅行もいいけど、こういうのも良いな、って」

慣れ親しんだ場所で、他愛のない話しをしながら茶を啜る。

それはとても平凡で、とても幸福であると改めて感じるのだ。

「恭一らしい。それはそうと、遅くならないうちに写真飾るか」

「そうだね。春海さん、紙袋どこ置いたの?」

「寝室の前だ」

「あ、あった」

三城が示した場所にショップの大きな紙袋を見つけると、中から丁重に梱包されたフォトフレームを取り出す。

ずっしりと重いそれを慎重に解き始めた。

フォトフレームにばかり気を取られており写真その物にまで気が回っていなかった幸田であるが、さすが三城に抜かりは無い。

帰宅途中にあったカメラショップにてデータで持ち出していたかの写真を印刷しようという話になったのだが、そこは高品質を謳うだけあり有人であった。

『無人の印刷機でいいじゃないか』という幸田に対し、『あれは質が下がる』と三城は言い張る。

言い出せば譲らない彼の性格を知っている為諦めてその店で良しとしたのであるが、店員に写真を見られた上に面前で確認を取られたので大変恥ずかしい思いだった。

今思えば、この時代インターネットのプリントアウトサービスも多くあるのだからそこを利用すれば良かったのではないだろうか。

一刻も早く、紙に印刷された「写真」を手にしたかったとはいえ、今後はネットサービスも視野に入れるべきだ。

カメラショップで写真を受け取ると中を確かめるのもそこそこに逃げるように帰ってきたので、ゆっくり写真を見たのはつい先ほどである。

「わぁ、綺麗だね」

「やはりあそこに頼んで良かっただろ?」

フォトフレームに写真と指輪を収め寝室の壁に掲げると、感嘆の声を上げる幸田に三城は勝ち誇った口調になった。

二人にとって、初めてのツーショット写真。

印刷技術云々は正直解らないのだが、沙耶子が撮ってくれたその写真は青い空と白い教会、そして満面の笑みを浮かべる幸田とどこか仕方が無いとばかりの笑みを浮かべる三城がフレームに収まっており、我が事ながら魅入ってしまう。

「うん。凄く綺麗だね。ツーショット写真ってさ、これだけしかないから余計に特別に感じるよ」

「そうだな」

「ちょっと、気恥ずかしいね」

「他に誰も見ないんだ、構わないだろ」

二人きりの空間。

この寝室が特別な場所になったのだ。

ようやく念願が叶ったと感慨深くそれを見上げていると、不意に三城の腕が強く幸田の肩を押し、後ろにあるベッドへと押し倒されてしまった。

「ぅわっ・・・」

「今日は早く寝た方が良い」

「・・・う、うん」

「だから、早くSEXをすませないとな」

「・・・なに、それ」

やる事は前提なのかと唇を尖らせる前に、覆いかぶさった三城は幸田のそこを唇で塞いだ。

「んっ・・・」

抵抗する間もなく、三城の熱い舌が差し込まれ口内を荒らす。

いとも簡単に絡めとられてしまった幸田の舌は、これでもかと彼に翻弄する。

「っふ・・・ンっ・・・」

無意識のうちに幸田は両腕を三城の背中に回しており、互いの密着を求めながらキスに溺れているうちに、瞼は自然と閉ざされた。

そして沸き起こる欲望。

もっと深い場所を探って欲しい。

知らず知らず立てられた膝は開かれ、局部を三城の太ももへと押し付けていた。

はしたないと思えど、反応を示しつつあった部分に自ら与えてしまった微弱な快感は止められず、彼にしがみつきながら微かに腰を振るう。

けれど硬い布越しのそんな行為は無意味に近く、満たしきれない欲望だけが大きくなる。

「欲しいのか、ここが」

耳元で囁く三城の声は、焦燥に揺れていた。

ジーンズの上からペニスを握られたかと思うと、彼の手はすぐファスナーに掛けられフロントを寛げる。

布地の中で窮屈に身を潜めていた幸田のペニスを取り出し、大きな手で包み込んだ。

「あっ・・・春海、さん・・・・」

既に大きく育っている竿を握られながら、指の腹で亀頭を捏ねられる。

しびれるような感覚が全身を走りぬけ咄嗟に三城へしがみついたけれど、耳元の彼は息を乱しながらも笑うばかりだ。

「気持ちいいのか?こんなに硬くして。だが、触って欲しいのはここではないだろ?」

「っ・・ん・・あぁ・・気持ち良い・・・気持ち、良くて・・・でも、もっとして。僕の深い場所、探ってっ・・・」

「あぁ。恭一の身体は、俺で満たしてやるっ・・・」

三城は幸田のズボンと下着を膝まで下ろすと、乾いた指で後孔の蕾に触れた。

たったそれだけで、そこはみっともないまでにヒクヒク物欲しげに震えたと、幸田自身もしっかりと解る。

「可愛い・・・可愛い、俺の恭一・・・」

覆いかぶさっていた三城が離れてゆく。

ずり下がる彼を視界の端にひっかけ、ぼんやりとその姿を視線で追った。

明日から平日で朝から日常で。

早く眠りたいと思っていたけれど、そうでなくても嫌ではないと今ならば感じる。

「あっ・・・・」

熱い粘膜が、秘められた場所を舐め上げた。

幸田の夜は始まったばかりだ。



 
*目次*