三城×幸田・初めての・・・編10



唇が熱いのは、酔いのせいだろうか。

別の事に意識を逸らされていた時に奪われた唇は、簡単に三城の舌の侵入も許した。

唇以上に熱い舌が、幸田の口内を荒す。

舌先が掠めあい、歯列をなぞられ、幸田の思考を朦朧とさすには十分だった。

ざらつく舌が触れ合うと背中がゾクゾクとなり、ギュッと瞼を閉じる。

普段以上の唾液が、どちらの物とも区別せず喉へ流れ込む。

どこからどう見てもモテそうな三城は、やはり女性経験も豊富なのかキスも巧みだ。

病院で触れ合っている時ですら、それだけは収まりがきかなくなりそうになった時があった。

その時はそれが三城にばれてしまい、なんとか「大丈夫」と言い張って三城を帰したが、実際は全く大丈夫ではなく、自分で始末をする羽目になった。

けれど今は何の心配も無い。

何故自分がキスをされるはめになったのか、事の経緯をすっかり忘れ夢中になっていた。

キスをされる事自体が嫌ではないのだから仕方が無いのかも知れない。

無意識に三城の背中を掻き抱く。

広く厚い背中だった。

散々口腔を弄んだ舌と唇が離れて行った頃には、幸田はすっかり蕩けた表情をしていた。

うまく思考が働かず、唇はだらしなく半開きになっており、口角から唾液が溢れそうだが、それすら幸田本人には解っていない。

身体の中心は熱を持ち、頬も火照り、瞳は「我慢出来ない」とばかりに潤んでいる。

整わない呼吸で荒い息を吐きながら、言葉を発せずに幸田はただ極近距離から三城を見つめた。

「、、、反則だろ、それは」

三城の呟きは幸田には届かなかった。

もし届いていたとしても、その言葉の意味を幸田は理解できなかっただろう。

「みき、、、さん」

必死に抱きつく格好になっていた腕を離し、掠れた声で呟く。

盛大に潤んでいた瞳を閉じ、三城の肩に手をやると押して離れようとする。

するとあっさりと三城は離れていってしまい拍子抜けした。

思わず瞼を開け、三城を視線で追う。

覆いかぶさるのも止め、立ち上がる。

このまま何処かへ行ってしまうのかと思った。

その錯覚はとても恐ろしかったが、無用な心配だ。

一旦は身体を離した三城だったが、幸田がソファーに半ば横たわっている横に立ち、脇と膝に手差し込むといわゆる姫抱きで幸田を抱き上げた。

「わっ何、、、」

それには流石に思考が瞬時に働き身を捩ったが、見た目以上に力強い三城の腕はビクともしない。

「大人しくしとけ。落ちるぞ?」

いまだ不機嫌さが残る声で言うと、三城はリビングを出て玄関をも通り過ぎ反対側のスペースに向う。

真下から見上げた三城の面持ちもとても美麗だったが、表情を伺う事は出来なかった。



 
*目次*