三城×幸田・初めての・・・編16



今しがた三城が出てきた部屋は、リビングに隣接する書斎という名の仕事部屋らしい。

「すまない、お前が寝たから少し仕事を進めておこうと思ってな。」

そう言いながらも、三城はクスクスと笑う。

幸田の勘違いからの慌てぶりが相当可笑しかったようだ。

「そんなに笑わないでください。」

恥ずかしさから拗ねてみせる幸田を三城は抱き上げた。

幸田の脇に手に入れて立たせたかと思うと姫抱きにする。

「へ?えぇっ何やってるんですか。降ろしてっ」

「何だ?まだ寝ぼけてるのか?」

「そういう訳じゃ、、、あっ」

いくら体格の差があるとはいえ、大の男が日に何度も抱き上げられて嬉しい訳がない。

それも「お姫様抱っこ」と呼ばれるようなメルヘンチックな方法でだ。

軽々と持ち上げられた身体は、幸田が暴れるのもお構い無しに三城に運ばれ、すぐにベッドの上へと降ろされた。

それではさっきの二の舞ではないか、と幸田は起き上がろうとする。

「何もしない。寝ろ。」

呆れたような三城の口調は断言的だ。

幸田の肩を押してベッドへと戻らせる。

「三城さんは?」

「俺はやりかけている事だけ終わらせてから寝る」

ポケットから煙草のソフトケースを取り出した三城は、一本咥えて火をつける。

慣れきった仕草は優雅ですらあった。

流れるような動きに、暫し見とれていた幸田は自分の呆けた顔に気づき、ハッとして口を開く。

「じゃぁ僕も待ってます」

「いいから、寝ていろと言っているだろ。」

「でも、、、」

「身体、辛いんじゃないのか?休め」

煙草の煙を短く吐いた三城は苛立たしそうな口調で言い、腰掛けていたベッドサイドから立ち上がる。

その時、幸田はようやく気づいた。

それと同時に甘い気持ちが胸に広がり、また自分を叱咤する言葉が一瞬頭を過ぎる。

「わかりました、早く来てくださいね」

冗談めかして言ってみせる幸田の頬を、腰を折った三城の唇が掠め、

「あぁ、もちろんだ」

一言を残すと部屋を出て行った。



 
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