三城×幸田・初めての・・・編19



幸田の身体を離した三城は、ソファーの昨日と同じ場所に座り、煙草を取り出した。

「昼飯、デリバリーでも取るか?」

デリバリーといえばピザや寿司、いいとこラーメンくらいしか思いつかない幸田は頷きかけたが、三城の差し出したメニューを見ると丁重に断った。

そこにはレストランと見紛うばかりの料理と値段が載っていたからだ。

真昼間からこんな贅沢をしてはいけないという庶民の感覚が働く。

けれどそんな事を三城に言うのがなんとなく恥ずかしく、もっともらしい言い訳をしてしまう。

「せっかくですし、外に食べに行きましょうよ。」

「俺はかまわないが、お前、身体大丈夫か?」

そこに比喩は含まれなかった。

心配してもらったのが嬉しいし、ここで「無理」だと言うのも酷く不自然だろうから、走り回れるほど元気になった訳ではなかったが、幸田は多少の無理をして笑んで見せる。

「もう大丈夫です。着替えてきますね」

「その前にシャワーだろ。風呂場に服と下着も置いてあるから」

訝しそうな顔をしたが特に深く追求することもなく、三城は煙草を挟んだ手でバスルームの方向を示してみせた。

「ありがとうございます。じゃぁちょっと入ってきますね」

下着があると聞き最初から幸田を泊まらせる気だったのが伺えた。

なぜか頬が緩む。

バスルームは指差しだけで解る場所にはなかった。

寝室から隣接するそこは、予想を裏切らない豪奢さでホテルを連想させる。

シャンプーやコンディショナーも、見た事が無い海外製でなんとなくお洒落だ。

風呂場なんて生活感が溢れてごちゃごちゃしているものだとしか思ってなかったが、さすが三城のそこはすっきりしている。

パウダールームと呼びたい脱衣場からバスルームの中にかけて、何処を見渡しても無駄がなく綺麗だ。

昨晩無残に脱ぎ捨てられたスーツはキチンとハンガーにかけられていて、それにも驚いた。

三城が幸田の服を拾ってハンガーにかける姿がどうにも想像できない。

男の一人暮らしでこうまで出来るものなのだろうか。

女の影を一瞬疑ったがその思いを振り払い、広々としたバスルームに入り二度の性交で汚れたままの身体をシャワーで流た。



 
*目次*