三城×幸田・初めての・・・編・3



待ち合わせをこのホテルに指定したのも三城だったが、これから向かう店もまた三城の案内だった。

ホテルを出た二人は、夜の町並みを並んで歩く。

まだ夜の7時を回ったばかりで真っ暗とまで日は落ちないが、街灯や店舗のネオンがギラギラと強調し始めている。

男同士故に、手を繋ぐ事も腕を組む事もないが、そんな些細な一時をとても幸せに感じていた。

「10日しか経ってないのに、もっと会っていなかったみたいです」

恥ずかしげに苦笑を漏らす幸田に対し、三城の反応は悠然としたモノだった。

「10日も、だろ?十分長いと思うが?」

言葉とは裏腹な優しげな口調に、幸田は一気に安堵を覚える。

会えなかった期間の寂しさや不安が嘘のように消えた。

「寂しかったですか?」

「あたりまえだ。だから、今夜はうちに来るだろ?」

最後の言葉は耳軸に直接囁かれた。

すぐ隣の道路は夜の渋滞を見せ何処からとなくクラクションの音を響かせ、二人が歩くこの歩道は沢山の人が行きかっている。

そんな中三城が身体を折り、幸田の耳に唇が触れるか触れないかという距離で放った言葉に幸田は虚をつかれた。

「どうなんだ?」

「え?え、はい、、、その、もちろん」

このタイミングで誘われるとは予想だにしていなかったため、急かされた返答は上擦った声になってしまう。

幸田とて立派な大人なので、デートの帰りに何かあるかも、と考えてはいたが、まだそのデートが始まって間もない今に誘われるとは思わなかった。

ましてや相手は三城で、元ノンケで。

それが顔に出てのだろう。

自分よりも10cmほど下から見上げる幸田に三城は悪戯な笑みを向けた。

「酔って判断力が低下していた、なんて後から文句を言われたくないからな」

「文句を言う」に連想される行為を想像して顔が真っ赤になったが、幸いな事に薄闇に包まれ始めた街では誰も気づかないだろう。

その後目的の店に着くまで終始無言だった。

けれど、並ぶ二人の距離は僅かに縮まった気がした。



 
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