三城×幸田・初めての・・・編34



月曜日は大抵、土日の授業の採点や資料の整理などに追われ一番忙しいのだが、それが済むと火曜日は休みだ。

月曜の夜、仕事を終えて幸田はビルの外へ出た。

昼間はまだ暑いくらいなのに、夜ともなると少し肌寒い。

終電まで後2、3本は電車があるだろうが、目の前の大き目の道路を車が走り去っていく以外、周囲には誰も居なかった。

空を見上げても、其処は黒いばかりで星の煌き一つ見つけられない。

手を突っ込んだポケットの中で指先が携帯電話に触れる。

このまま三城の家に行ってしまおうか。

脳裏に浮んだ甘い誘惑に、幸田は一人頭を振って否定した。

こんな夜中にいきなり押しかけるなんて。

モラルを考えれば出来るわけがない。

電話を入れれば即座に良い返事はもらえるだろう。

三城は優しい男だから、だからこそ我ままを言ってはいけないのだ。

気持ちを切り替えるように一つ大きなため息を吐いて、幸田は駅へ向かって歩き出した。




******************************

目覚めると時刻は午後2時を過ぎていた。

帰宅後、めずらしく一人で飲んだからだろうか。

休日とはいえいつも以上に眠ってしまったようだ。

結局、三城には電話一本入れれなかった。

声でも聞いてしまえばすぐに飛んでいってしまいそうで、帰宅を知らせるメールを送っただけだった。

起き上がりベッドサイドに腰掛け、まくらもとに置いてある携帯に手を伸ばした。

広げるとメールが3通来ている。

一件目は三城からのおやすみメール

二件目と三件目はただのメルマガだ。

三城から以外のメールを削除して携帯を閉じた。

何、と言えない寂しさが胸に広がる。

「さて、とりあえず溜まった洗濯物でも洗うか。」

気分を変えるように大きめの独り言を言い、重い腰を持ち上げた。

平日は出来ない家事をこなし、買い置きの食料の補充する為に買出しへ出る。

買うのは主に冷凍食品とカップラーメン。

レトルトも良いのだが、米を炊くのも面倒で使えない事が多い。

一息ついた時にはもう夕方も夜と言って良い時間だった。

開始が遅かった為しかたないのだが、貴重な休みに何も「コレ」といって出来なかった感が否めない。

そのうえ夕食がカップラーメンではさすがに侘しいものがある。

せめて外食でもするかと、普段着に薄手のジャケットを羽織っただけの格好に財布と携帯をポケットに突っ込んで家を出た。



 
*目次*