フィルター・3



暫くしたある日。

その日、智也は当直だった。

手助けが必要な人達の手を引いて部屋に行き、就寝を手伝う。

智也の担当の最後は幸喜だった。

「コウくん、おやすみ」

智也は幸喜の布団を掛けてやると頭を一撫でし、踵を返そうとした。

「とーやしゃん、帰うの?」

幸喜は眠そうに目を擦りながら、智也を見上げて言った。

「ううん、今日はここにお泊りだよ」

「じゃぁーね、じゃぁーね、もぉ少しここに居て?」

甘えるように言うと、幸喜は智也に片手を伸ばした。

智也は驚いて眉を上げたが、すぐに笑顔を作るとベッドサイドに膝をついてその手を握り返す。

「いいよ、でもどうしたの?」

「あのね、とーやしゃんに、触りたい」

智也の胸がこれでもかと高鳴った。

答える声が震えるのを感じる。

「いいよ、じゃ、コウくんが眠るまでこうしていようね」

幸喜は「へへ」と嬉しそうに笑い、眠りへと落ちていった。


   
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