人生の門出・編・11
(エピローグ)



人生何があるか解らない、とはよく言ったもので、まさか26歳にしてこんなにも人生が一変するなんて考えた事もなかった。

まだ籍は入れていない。

数日後の春海さんの誕生日に手続きが完了すると沙耶子さん──お義母さんが言っている。

高校の方には一部の上司───理事長や校長にだけ養子縁組の話を伝え、そのうえで仕事上は「幸田」性で働く事を了承してもらった。

養子縁組は、両親の居ない僕にとって不自然過ぎる事も無いのであっさりと納得してくれたようだ。

幸田のままいるというのは、三城性になったと不用意な人物の耳に入り、余計な勘繰りをされてもいけないという春海さん含む三城家の配慮だった。

他にも、出来る限り幸田を名乗ればいいと提案してくれている。

「結婚後も旧姓を名乗る女性は多い」とお義母さんも言うので、当面はその意向に甘えようと思う。

本当の所は世間体なんかよりも、照れくさくて仕方が無いのだけれど、そうと言えば春海さんは怒るだろうから内緒にしている。

「それに、、、みききょういち、ってゴロ悪いよ・・・舌噛みそう・・・」

なんとも幸せな悩みだと苦笑が浮んだ。

もっとも、春海さんなら、

「結婚とはそんな物だ。文句があるなら先祖にでも言え。」

と一蹴するだろうけれど。

─────、桜が散りました。

三城恭一として、歩み出します。



【完】



++あとがき++

*目次*