君と僕と・14


次の日、僕はさっそくそのアスという人と会う事になった。

そしてニルの部屋から元々僕に割り当てられていた部屋へと移った。

もう僕とニルとの関係は殆ど無くなり、そのアスという人と暮らすのだろう。

それでも、このとても大きなお屋敷の中では近い距離に居れて良かった。

新しい部屋もニルの部屋と一緒でフカフカしていて温かかったけど、何かが違う気がする。

床や壁やシーツの手触りは全て同じなのに、何故だろう。

ここに来てから貰った物を自分の部屋に移すと、ニルに手を引かれて主人さまの部屋を出た。

主人様の部屋から出る事はあまり無いからドキドキする。

真っ直ぐに歩いて少し行くと、ニルが立ち止まって僕の手をぎゅっと握った。

「こうやって一緒に歩くのは最後になるかもね」

寂しげな声だった。

僕も寂しかった。

本当は、昨日話を聞いた時からとっても寂しくて辛くて、「嫌だ」と言いたかったけど、僕には叫ぶ事も泣く事も出来ないから必死で我慢している。

ニルも同じ気持ちだとしたら嬉しい。

大好きなニルに迷惑がかかるのは嫌だから、僕は気持ちを閉じ込めてコクンと頷いてみせた。

一度強く手を握り、すぐに力を抜く。

ニルは僕の手を掴んでいるけど、僕はニルの手を掴まなかった。

小さく音を立てて目の前に有ったらしい扉を開けるとニルに手を引かれて中へと入っていった。
   
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