クライン×北原・16


*注意*『』内のセリフは英語です。

同意を示すよう浅く頷いたというのに、クラインの指はアナルを一撫でするとそこから離れていった。

『ぁ・・・』

『すまない、ナオヤ。少し待っていてくれるだろうか』

チュッと音を立て頬にキスを落としたクラインは、北原の上どころかベッドからも降り、ベッドルームに背を向けた。

こんなムード高まる時になんだというのだ。

携帯でも鳴っていたのか、それとも何かの時間なのか。

ベッドの上で上半身を僅かに起こした北原だが、彼の出て行った扉の先を伺っても何も答えは得られなかった。

しゃべり声も物音も聞こえず彼が何をしているのか解らない。

いぶかしみはしたものの、北原の眉間に皺が寄せられるよりも早くクラインは何事も無かったようにベッドルームへ戻り、先程と同じ体勢で覆いかぶさった。

『・・レイズ?』

『お待たせ、ナオヤ。一人の時間は寂しいと感じてくれただろうか?』

本気なのか冗談なのか掴めない声音を耳元で潜めたクラインは、そこへ熱い舌を這わせながら再度北原の秘部へと手を向けた。

「んっ・・・」

グチュグチュと淫猥な音を直接耳の中で立てられ、外の音をシャットダウンさせられる。

更に目を閉じてしまえば、ただ自分に触れるクラインだけが全てとなった。

下生えを彼の指が掠め、アナルへと触れられる。

それは羞恥を得るだろうと予想された為、キツく瞼を閉ざしシーツを握り締めたが、そこにあった感覚は明らかに先程とは異なっていた。

「っ・・あ・・・」

人肌とは違う「常温」で、何よりもジェルか何かだと思われる滑りけを帯びている。

驚きから反射的に身体を起こそうとしたが、覆いかぶさるクラインにより叶わなかった。

『レイ・・ズ、何っ・・?』

耳を攻められる快感から、息が上がる。

苦しげに胸を詰めながら瞼を開けると、彼の金の髪が視界を塞いでいた。

『何?・・・あぁ、ローション代わりのただのボディーオイルだ。大丈夫、ナオヤは私に身を任せて』

「ンっ・・・あっ・・ッ」

クラインの腕が北原の背中に回り、身体を密着するように抱きしめられたかと思うと、アナルを撫でていた彼の指が内部へと差し込まれた。

「くっ・・・ぁっ・・イ・・っ・・ゃぁ・・」

激しい異物感が、ペニスを萎えさせる。

とりあえず抜いてくれ、と口にしようとした時、嫌嫌と無意識に首を振る北原の唇をクラインは奪った。

「っ・・・ん・・」

体内をこじ開けられるような苦しさに加え息苦しさも襲う。

キスなど今でなくとも良いのではないか。

彼への悪態が胸に宿り、重ね合わせた唇を離そうと並んで横たわる体勢へと移ったクラインの胸を押し返したが、力の差は大きいようでビクともしない。

そうこうしているうちに、逃げ惑っていた北原の舌が彼により吸い上げられた。

「ッ・・・ぅンっ・・・」

甘い痺れが舌先に宿り、今までの苦しみが一瞬にして消え去る。

ジンジンと熱を持ったそれをクラインにより弄ばれ続けると、次第に北原も口付けに夢中になっていた。

唾液を飲み込む事も叶わず、ただ彼の舌と絡め合わせる事だけが必死だった。

「ぁっ・・・はっ・・ぁはぁ・・・レイズ・・」

『・・・。ナオヤ、無理をしてすまない。大丈夫?まだ苦しいだろうか?』

『い・・いえ、あの、・・・ごめんなさい・・・』

『何を謝る事がある?私のナオヤ。大切にするから、少しだけ我慢をして』

「・・・っン・・ぁ・・・」

甘やかな囁きを残し、クラインは再び北原の唇を塞いだ。

内部で息を潜めていた指が排泄感を伴いながら引き抜かれたかと思うと、後ろで何やら物音を聞いた気がする。

そんな小さな音など今の北原にははっきりと判別できず、空洞になった体内に安堵したのもつかの間、新たな滑りと共に進入をしてきたクラインの指は明らかに圧迫感が増していた。

本数が増やされたのだろう。

ずっしりとした感覚を腹に知り、けれど先程以上の質量にも嫌気を感じはしなかった。

それどころか、ネチネチと奥を探られると、そこに快楽の片鱗を見たのだ。

「あっ・・はぁ・・」

内部を擦られ、声が上がる。

知らぬうちに、クラインの指を欲しがるように腰すらも揺れてしまい、萎えきっていた北原のペニスは首を擡げていた。

こんな場所を、排泄器官を刺激されて快感を感じるのか疑問に思っていたというのに。

男同士の挿入行為など、ただ愛する人と繋がる為だけに行うのだと考えていたので、己の身体の変化が不思議でならない。

小さく啄ばみクラインの唇が離れると、北原のそこはどちらの唾液とも解らないもので淫靡に光っていた。

『ナオヤ、気持ちよくなって来ただろうか?もっと、その可愛い声を聞かせてほしい。あぁ、そんなにもセクシーな顔をして』

「んっ・・・気持ち・・いい・・と、思います。これが・・そう?」

『あぁ、きっとそうだ。ナオヤのペニスも、もうこんなにもなっている』

彼の言葉はまやかしのように甘い。

自分は可愛くもセクシーでも何でもないという思いは、けれど今は口を吐かなかった。

クラインの手のひらが北原の尻を掴み、そして高まる北原のペニスを手中に収める。

やわやわとしごかれると、亀頭から潤みが一筋伝い落ちた。

「ンッ・・・あぁ・・触らないで・・両方なんて・・・っ」

『ナオヤ、また達してしまいそうだね』

『いきたく・・・ない・・まだ・・っ、お願いレイズ、離して・・・・・・・貴方を、いれて』

『あぁ、ナオヤ・・・愛している。何よりも愛している、ナオヤ』

赤面ものの懇願を言ってのけると、クラインは震える声で囁き北原から身体を離した。

仰向けに寝かされ、頬を掠めるように撫でられる。

「あ・・・レイズ・・」

『ナオヤ、苦しかったら言うんだ。良いね?私たちはこれが最初で最後でないのだから』

至極優しげな笑みと共に口にしたクラインは、手にしたボトルから取り出したオイルだろうものを己のペニスに纏わせた。

テラテラと滑るそれは、薄暗がりの中間接照明の光を受け淫靡な印象を与える。

やはり自分のモノとは比べ物にもならないそのペニスが、身体の中に入るなど信じられない。

指を数本差し込まれただけでも苦しかったというのに。

今は彼のペニスの柔らかみが有難いようにも思えた。

クラインの手が北原の太ももに掛けられる。

両足を持ち上げられ身体を二つ折りにされるような格好に羞恥を感じる間もなく、クラインのペニスが北原のアナルに宛がわれた。

「っ・・・」

『ナオヤ、ゆっくり息を吐くんだ。解ったね?』

ズッと、アナルを強く押される。

息が詰まる感覚になりながらも、オイルの力を存分に借りた彼のペニスは肉を押し広げながら北原の内部へと侵入をした。

「くっ・・はっ・・・はぁ・・・っ」

『息を止めてはいけない。ナオヤ、呼吸をするんだ』

「はっ・・はぁ・・・ぁぁ・・」

『そう、上手だ。もう少し、もう少しで楽になれる・・・』

何度も壊れた人形のように頷き、北原は両腕をクラインに伸ばした。

何が原因かも解らない涙で、彼の顔がよく見えない。

「れい・・ず」

北原の手を掴み、クラインは胸を合わせるよう身体を沈めた。

彼の引き締まった腕に抱きしめられ、同時に体内に埋め込まれたペニスが一際奥へと差し込まれたと知る。

そこまで来ると、不思議と初めより苦しみが少ないような気がした。

『ナオヤ、愛しいナオヤ。っ・・苦しみは・・・マシになっただろうか?』

『はい・・・少しは』

『良かった。私は今、すぐにでも絶頂を迎えそうな程興奮している。あれ程恋焦がれたナオヤが腕の中に居るのだから』

『レイズ・・・』

思い返せば、以前に一度だけ彼に会ったパーティーが開催されたのは、今よりも半年程度前である。

彼は、その時からずっと想い続けてくれたのだろうか。

たった一度会った、会話も殆ど交わしていない、支社の社員でしかない自分を。

『レイズ・・・僕は・・・とても幸せです・・』

こんなにも想ってくれる人に出会えて。

こんなにも大切に扱われ、そして自分も彼に出来うる限りを返したい想える相手など、容易にめぐり合えるものではない。

『なんて可愛い事を言うんだ。ナオヤ、世界中の誰よりも君を愛している』

『レイ・・ッ・・ぁ』

体内で彼のペニスがビクンと脈打った。

それは生理的な反応か、わざとであるのか、彼の澄ました顔からはまるで読み取れない。

『ナオヤ、良ければ少し動いてもよいだろうか?』

『あ・・・はい』

『大切に扱いたいというのに、ナオヤはとても細いから壊してしまいそうだ』

北原を抱きしめたまま、腰を少し浮かせたクラインはゆっくりとした動きで内部を探った。

決して急な、激しい動きなどする事無く、内壁を擦りあげる。

「フッ・・・はっ・・・ぁ・・なっ・・に・・?」

指よりも多大な質量であるというのに、それが彼のペニスだと思うと快楽しか思い浮かばなかった。

先程よりも遥かに勝る快感に、北原は知らず知らずのうちに腰を差し出している。

『あぁ・・・ナオヤ。そんな顔で見つめないで。それだけで私は達してしまう』

彼の甘い言葉も、今は決して大げさに言っているだけではないようだと、切羽詰った表情と内部を抉る動きで知れた。

『可愛い。ナオヤ。オフィスでの美麗な姿が嘘のようだ。私はどちらのナオヤも愛してやまない』

「・・・れい、ず・・・レイズ、僕も、貴方が好き。でも、もう・・・いきたい。いかせて・・・」

好きで好きで、その感情だけが胸を一杯にする。

人生初のSEXがまさかこんな形になるなどと思いもしなかったけれど、これは幸福以外の何物でもなかった。

もはや呂律も真っ当に回ってはおらず、北原はこれでも懸命に耐えていたが、もう限界だ。

タラタラと溢れるばかりの亀頭を彼の腹に押し付けると、クラインはそれを手中に収めた。

『あぁ、ナオヤ一緒に絶頂を迎えよう。私も、もう・・・』

「っ・・・あっ・・・あぁ・・だっ・・ダメ、っくっ・・・」

クラインのペニスは相変わらず内部を優しく撫で回す動きであったというのに、彼に握られた北原のペニスは容赦ない巧みな動きで扱かれる。

ただでさえ間際であった為、そんな手淫を施されるとあっけなく、北原は細い声を上げ双方の腹を汚しながら吐性を果たした。

「あっ・・・あぁ・・・はぁっ・・・ンっク・・・」

二度目の為に幾分薄くなったが、その精液はとても熱い。

全力で走った後のように息が上がる中、奥を何度も突付く動きで彼も性を放ったのだと知った。

『っナオヤ・・・・』

疲労感と安堵感。

放出の反動か、思考が上手く回らない。

あぁ、良かった。

男の自分でも愛した同性の人を喜ばせられるのだ。

などと、とても今更な事が脳裏を過ぎったのを最後に、北原は彼に抱きついたまま意識を手放してしまった。

耳元で「愛している」と甘い言葉を聞いたのは、夢か現実か定かではない。




*目次*