三城×幸田・クリスマス・編・1



街は煌くイルミネーション。

町並みや店舗、個人宅に至るまで、何週間も前から変わらないデコレーションを施されているというのに、いざ当日となると違った風に見えてしまう。

クリスマスを待ち遠しく過ごしたのなんて何年ぶりだろう。

鞄の中には悩みに悩んだ三城へのプレゼントが入っている。

今日もまた、仕事でもないのにスーツを着込んだ幸田がいつものシティホテルへと急いだ。




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今年は運良く、金曜日がクリスマス・イブだ。

これだけでも神様からのプレゼントかと思ったくらいだった。

数ヶ月前に合鍵を交換しあった二人は、休みの日の前日には相手の家に行く、など盛期に会う機会を作っている。

だが会ったとしても、どちらかといえばイン・ドアな二人故に自宅で過ごす事が多かったのだが、今日は「久しぶりにデートをしよう」と三城からの誘いがあったのだ。

そのため、弾む心を抑えながら幸田は、以前はよく待ち合わせに使ったあのシティーホテルへと暫くぶりに向かっていた。




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12月の夕方はコートを着ていても寒い。

駅からは半ば走るようにやって来たが、その短い時間でも身体は冷えたようでホテルに入るとその暖かさに安堵の息を吐いた。

正面からホテルへ入り、ロビー脇にあるラウンジを目指す。

久しぶりに(と言っても一ヶ月半ほどだが)に訪れたそこを不自然にならない程度に見渡した。

以前なら三城の事を気にしすぎて、ホテルの内装になど気が回らなかったからだ。

暖色系の照明に白乳色の内壁。

高い天井から吊るされたクリスタルのシャンデリアは見事の一言だ。

全体的に黄金をイメージさせる高級感あふれる内装のホテルも、今日は各所それぞれにクリスマスの飾り付けが施されている。

幸田が訪れたラウンジにも、可愛らしい飾り付けがされた子供の背丈ほどあるツリーがあった。

それを横目に微笑ましく眺めながら、案内された席に座り、

「コーヒー」

と、一言告げてからコートを脱いだ。

スーツのポケットから取り出した携帯を開けるが、特になんの変化も見れずテーブルの上に置く。

時刻は午後6時50分。

待ち合わせ10分前とは、ちょうどいい時間だろう。

すぐに運ばれてきたホットコーヒーを口に運ぶ。

「熱っ」

その熱さに唇を焼けどしてしまいそうだったのに、三城が待ち遠し過ぎてつい顔がにやけてしまう幸田だった。



 
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