三城×幸田・クリスマス・編・3



カードキーを使い開錠した幸田は、重い扉を引いて中へ入った。

三城は来ているのだろうか。

心臓がトクンと鳴る。

短い廊下を進むと、すぐにベッドとテーブルセットのあるメインルームだ。

そこには、ベッドサイドに腰掛ける一つの人影があったが、それは三城ではなかった。

「っ、、」

思いもかけない出来事に驚きに息を呑んだ幸田は、その人物をマジマジと見つめて動けないでいる。

幸田の視線の先に居る人物が立ち上がり、幸田へ向かって数歩歩んで来た。

スラリと背の高い、抜群にスタイルの良い男だった。

スタイルが良いと言っても、均整の取れた筋肉を纏う三城のようなそれではなく、細く華奢でとても姿勢が良く、ボディーラインの出た派手な柄のシャツと無地のスリムパンツが嫌なほどに似合っている。

顔も細面でキリリとしていて目鼻立ちがやたらと整っているし、色素の薄い髪が肩の上で波打っていた。

人を見かけで判断してはいけないと言うが、この出で立ちの男をただのサラリーマンとは到底思えない。

「ねぇ、貴方が幸田さん?春海が言うだけあって綺麗な顔してるわねぇ」

そのうえこの口調である。

固まったままの幸田の前に立つと、男は腕組みをしたまま片手だけを幸田の顎に沿え、無遠慮に自分の方へと向けた。

「なっ何するんですか。貴方は誰ですか!?」

やっとの思いで絞り出した声は、とても弱弱しいものだった。

女々しい動きに言葉遣い。

やはり只者とは思えない。

そのうえ三城をファースト・ネームで呼ぶなんて。

二人はどんな関係で、三城は何故こんな男の居る部屋に幸田一人を寄越したのだろうか。

まさかと思うが、売ったとか貸したとか、、、、

恐ろしい想像が脳裏に浮ぶと、幸田は瞬時に青くなった。

まさか、三城に限って。

青くなった幸田の顔を見た男は、幸田の考えている事がわかったのだろう。

「やぁねぇ、そんな怯えなくたって、取って食いやぁしないわよぉ」

男は可笑しそうにクスクス笑い、ポンッと幸田の肩を叩いた。

一応は理系で数学教師をする幸田だが、三城の事となると途端に思考力が停止しパニックに陥りやすくなる傾向があったが、今のところ本人は気づいていないようだった。

「あ、、、はい、、」

「私は春海の頼みで此処に来ただけだもの。あ、私の名前は椎名【しいな】。皆シーナって呼ぶから、きょーいちさんもそう呼んでね。」

「はい、、あ、あの、三城さんからの頼みって?」

「まぁまぁ、いいから。ふふ。私に任せないさい。さぁ、そこ座って。」

椎名は幸田の質問にろくに答えはせず、不敵に笑いながらベッドサイドまで連れてくると、肩を強く押して無理矢理そこへ座らせたのだった。



 
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