三城×幸田・クリスマス・編・5



何で僕がこんな目に、、、

混乱が収まらない頭で事の経緯を整理しようとするが、ぐちゃぐちゃになった思考では纏る訳がない。

椎名に差し出されたワンピースに何気なく付いていたタグは、某有名海外ブランドの物で驚愕した。

そういえばコレが入っていた紙袋も、よく見れば同じブランドの物で、この日の為に買って来たのだろうか。

幸田からすればなんとも無駄使いにしか思えないのだが、三城なら惜しみなく金を出しそうだと思う。

「ファスナー上げてあげるわねぇ」

ウィッグで長くさせられた髪を横に分け、ジジジと音を立てながら背中のファスナーが閉まる。

身長170cmと少しの幸田だが、ワンピースは恐ろしくピッタリと身体にあった。

まさかオーダーで作ったのだろうか。

真偽は定かでないが、これもまた、三城ならやりそうだと思った。

履くように促されたローヒールのパンプスにも足を通す。

我ながら何故こんなにも素直に従っているのか不思議だ。

「ほら、こっち、来て」

椎名に手を引かれてつれて来られたのは、部屋の隅にある姿見の前だった。

「、、、、あ」

目の前に現れたのは、真っ直ぐな漆黒の髪が美しい日本美女だ。

それが自分であると気づくまでにしっかり3秒かかった。

「えぇぇ!?」

「ねぇ、綺麗でしょぉ?」

自慢げに胸を張る椎名を前に、幸田は何一つ言葉を発せれない。

元々大きめの目は、メイクにより更に大きく尚且つ魅惑的になっている。

唇は品の良いベージュピンクの口紅にグロスが塗られてプルプルしていた。

これが本当に自分なのだろうか。

信じられない気持ちで一杯だった。

言葉無く鏡の中の自分を見つめる幸田に、背後から声がかけられた。

「準備は出来たか?」

高慢なまでのその声こそが、今の幸田の元凶と言えよう、三城だ。

思いもしなかった三城の出現に幸田は瞬時に振り返ってしまうが、バシッと三城と視線がぶつかってしまい、「しまった」と慌てて顔をそむけようとした。

こんな姿を正面切って見られる自信が、幸田にはまだない。

後ずさり逃げようとするが、三城が距離を詰める方が早かった。

三城の腕が幸田の腰に回され、グィッと引き寄せられる。

空いている反対の手が幸田の顎に架かり、掴まれて三城の方へと向かされた。

「綺麗になったな。どこからどう見ても女だ。それも極上の、な。」

満足げにニヤリと笑うその秀麗な顔に騙された幸田は、微かに頬を染め、背けれない顔をせめて視線だけはと横へ逃がした。



 
*目次*