君だけにオール・グリーン・8


俺達はどこに向かっているのだろう。

俺は何処に。

少なくとも、今まで、昨日よりはずっとしっかりと地を踏みしめていると思う。

男同士でSEXをして、愛を交し合って、ここ日本ではまだ受け入れられにくい存在となったとしても、今までよりはずっといい。

俺は一人じゃない。

俺は・・・・・・・・・

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俺は毎日学校に通うようになった。

大久保と二人で。

学校ではもちろん俺達の関係は秘密だ。

だから俺は必要以上に大久保と接触しないようにしようとしていたけど、大久保はそうはしなかった。

登校から移動教室、休み時間に昼休み、下校して大久保の家に行くまで。

俺達は一緒だった。

周りには変な目で見られてはみるが、それは恋愛とかそんな事ではないだろう。

変人扱いだった俺と、普通の大久保が仲良くしている事を皆訝っているだけだ。

でも、大丈夫だと思う。

俺は大久保に影響されているけど、大久保は俺に流されないだろう。

結果は全て良好なのだと思う。

俺は大久保と居るようになり、リストカットを止めた──という訳ではない。

そんな簡単に止めれるものではない。

大久保も、特になにも言わなかった。

悲しいとか苦しいとか、止めて欲しいとか。

俺の負担になる言葉は何一つ言わなかった。

ただ、大久保は毎度SEXの後に腕の傷を見たがった。

俺は見せた。

大久保はいつも黙ってそこを撫で、キスをする。

新しい傷が無い時だけは、「偉いな」と頭を撫でてくれた。

人の心や性格はそう簡単に変わる物ではなくて、俺の意固地なそれも簡単には治らないだろう。

卑屈や協調性のなさもだ。

けど、俺の捻じ曲がった心も、お前にだけは──

「拓実、帰るぞー!」

教室の入り口から大久保は俺に向かって大声をかけた。

ニッと笑い片手を大きく振る。

「今行く!」

俺は乱雑に教科書を鞄に入れると急いで席を立った。

クラスメイトに挨拶を交わしながら。


*あとがき*
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