レンズ越しの・・・編・4



毎日、というわけではない。

クラインの部屋に泊まった日も、平日は二日に一回程度の割合でしかない。

ただ、クラインの部屋に泊まる自体が平日の半分程なので、結果おのずと二日に一回程度となってしまっているだけだとも言える。

こちらもまた、二日に一度の割合で頼んでいるというルームメイキングの為清潔に整えられた寝室で、直哉はクラインに尻を支えられた。

「あっ・・・はっ・・・」

「ナオヤ、苦しくはないだろうか?」

「だ・・・大丈夫・・・です・・・ンッ」

頭は枕にあるものの、背はシーツから浮き上がっている。

シーツの上に膝をつくクラインのペニスに届くように、力の入らない下半身を高く上げられた。

半端に折った足が、何より自分のペニスが、瞼を開けば見えてしまう。

それが嫌だと、顔を背けた直哉は枕に顔を埋めた。

「そうか、良かった。そうだね、ナオヤのここは立ち上がっている。快感が、得られていると?」

「・・・はっ・・はい・・・はっ」

直接的な言葉に、羞恥心が起こる。

彼の手が、直哉の尻から太股を撫でた。

大きな手のひらがそこを這う感覚に、触れられている部分以外もゾクリとする。

「良かったら、良いと言って欲しい。私は、ナオヤの言葉を聞きたい」

「そ・・・・んっ・・・いっ・・・いい、です」

「何処が良いのだろうか?」

「ふっ・・・ん・・・レイズ、そんな・・・」

「言えないだろうか?」

「そん・・・レイズ・・・なっ・・・中が・・・身体の、中が・・・」

顔が燃え上がりそうに熱い。

恥ずかしくて、上手く声も出ない。

けれど不快感はなく、口にしながらもその箇所、体内に埋め込まれたクラインのペニスを意識した。

「ふっ・・・ン」

男性だけではなく女性にしても、直哉には性交渉の経験がない。

知っているのは、クラインだけ。

その為、彼の行為や言動こそが直哉にとってのセックスだ。

クラインのペニスが、持ち上げられた北原のアナルから身体の奥深くへと突き刺さる。

白人特有の、完全に勃起しても柔らかさの残るペニスが、直哉の誰も知らない場所を擦り上げた。

「は・・・レ・・・イズ」

「ナオヤ、積極的だね」

「レイズにも、良く・・・ンッ」

シーツを握りしめたまま、直哉は腰を引く。

ふんバリの利かない状態であるが、それでもただ与えられているだけではいけない気がして、出来る限りだと腰を振った。

直哉のセックスの経験はクラインだけであるが、クラインはきっと違うのだろう。

初めの時から彼には与えられるばかりで、翻弄をされるしかなかった。

けれど、いつまでもそう甘んじて良いとは思えず、しかし自分はどうすれば良いのかも分からなかった。

そのうえこればかりは他の誰かに手ほどきを受けるわけにはいかず、クライン自身には恥ずかしくて聞けない。

そうした上で、妥協策とし勉強の為だと「その手」のDVDを何本か見たが、その結果がこれだ。

「レ・・・イズ、良い・・・ですか?」

「っ・・・あぁ。とても、良い。ナオヤもスゴく、可愛いよ」

「ふっ・・・ん」

やはり、元を分かって居ない者が、単なるDVDを見たところで理解の出来る事柄は少ないのかも知れない。

身体を揺するよう腰を振る。

けれどそうすると、直哉自身にも同じだけの快感が降りかかった。

「はっ・・・あ・・・」

DVDを見て理解したのは、その行為そのものだけではない。

モザイク越しのであっても、彼らの持つペニスよりも、クラインのそれの方が勝っているのだという事。

人種が違うのだ。

同じ人間であっても、身体の作り全てが同じである訳ではない。

そのうえで、家系的な特質もあるのだろう。

「だがナオヤ。私は、私よりもナオヤに良くなってもらいたい。出来れば、声ももっと、聞かせてほしい」

「なっ・・・何・・・そんな・・・ぁっ・・・ああっ」

すっと、腰が下がり背にシーツが触れる。

足の裏にも確かな感覚を得て、そこに驚いているうちにクラインは直哉の胸へと覆い被さった。

「愛してる、ナオヤ」

「レイ・・ズ」

彼は、狡い。

いつも直哉を翻弄するだけ翻弄して、声が聞かせて欲しいなどと一見伺っているようにみせながらも、結局は拒否の出来ない状態まで追い込んでいく。

仕事でもプライベートでも、相手の逃げ場をなくす彼のやり方は同じだ。

「ナオヤ、こちらも好きだろう」

「あっ!やっ・・・・りょ、両方は・・・あぁ・・・はっ」

クラインの手が北原のペニスを握り、彼のものとは比べものにならない貧相なそれが、彼の手のひらで擦られる。

それだけではなく体内も休まずに擦り上げられるので、おのずと声は高くなった。

もう、腰を振るだとか、クラインに良くなってもらいたいだとか、考えていられなくなる。

柔らかいシーツを握るだけでは頼りがなくて、いつの間にか彼の首に両腕を回した。

がっしりとした首を抱きしめると安堵感がある。

彼の腕の中、それが何より心地良い。

「はっ・・・ん・・・レイズ、レイっ・・・」

「良い、とても良いよ、ナオヤ」

息を吹きかけられながら彼が耳元で囁く。

性器以外で感じる快感も、無機質なDVDでは教わらなかった。

学ぶには実践が一番なのだろう。

そのような事をふと考えたが、それもつかの間、彼の手が三度直哉のペニスを擦り上げた頃には、彼以外を考えられないまでに快感に押し流されていた。



  
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