新婚旅行リベンジ・編・1
(プロローグ)


駅から徒歩10分。

大きな門を抜け広大な敷地に聳える立派な白い校舎───、由志高等学校【ゆうし・こうとうがっこう】。

創立45年のこの高校は、野球と水泳が強く有名で、進学校ではないが常に最新の機器と教材を取り入れている。

その為金持ちボンボンも集まりやすいが、それもあってか校舎も綺麗で古びた様子は微塵も無い。

エレベーターもあるしバリアフリーも完全完備、光ファイバーも通っているし、校内には大学さながらの売店もあるという。

そしてそんな由志高校は、男子校だ。

(それを伝えた時の春海さんの顔、怖かったな・・・)

幸田自身は小学校から大学まで公立の共学校だったが、三城は幼稚舎から高校までエスカレーター式の男子校。

いくら幸田は真正のゲイだといっても誰にでも欲情しないのと同じく、男子校だからと言って何がある訳でもないと考えているのだが、三城はそうとは思わなかったようだ。

何か言いたげに唇を開閉させたが、大きなため息を一つ吐いただけだった。

(僕は春海さんだけだっていうのにな。信用ないのかな・・・)

けれどそれも半月以上前の事だ。

今はきっと違う。

プロポーズを受け両親に挨拶をしたのはつい昨日の事。

幸田は一つ頷くと、校門を潜りぬけ校舎へ向けて歩き出した。

今日が初授業。

憧れの教壇に立つ喜びに逸る胸を、指輪の光る左手で撫で下ろしたのだった。



*目次*