新婚旅行リベンジ・編・13



応接室に隣接する寝室も、今までに見たホテルのそれらよりも豪華だった。

高い天井には絵画が描かれ、煌びやかなクリスタルのシャンデリアが下がる。

大きなベッドは日本のキングサイズよりも広く感じ、艶やかな花々が沢山生けられていた。

その上、ここが寝室と聞かされていなければ唯の一室として十分通用するだろう装備だ。

豪奢なコーヒーテーブルもあれば、ペンとメモが備え付けられているカウンターテーブルもある。

薄暗かった室内が照明の下に照らし出され、周囲を見渡していた幸田だったが、だがその感動を味わいきる前にベッドへと身体を沈められていた。

「わっ・・・」

此処に来るまでまるでエスコートをするかのように腰に添えられていた三城の手が幸田を押し倒したのだ。

スプリングの効いたマットに、深く身体が沈む。

突然視界が反転し呆然とシャンデリアの輝く天井を見上げていると、ニタリと口元に笑みを浮かべた三城が覆い被さってきた。

何かを企んでいるような顔は、ある意味恐ろしい。

「今夜くらいはゆっくり酒でも飲ませてやろうと思ったが、またの機会だ。」

そんな事を考えてくれていたのかとボンヤリと思う中、どこか焦った印象を与え呟いた三城は言うやいなや幸田の首筋に唇を落とした。

「あっ・・・」

三城の唇が、小さくけれど強く吸いつく。

この感覚には覚えがある。

きっと痕が残るだろうと思えば恥ずかしさや照れくささもあったが、それらに混じり嬉しくもあった。

ここは日本ではなく、自分を知っている人が居ないと思えばかもしれない。

首筋から唇が離れると舌先がそこを舐め上げる。

独特の暖かい感触にゾクリと背中が震え、首を仰け反らせるとそこもまた噛み付くような吸引を与えられた。

「ぁっあぁ・・・・」

喉仏や顎の下、普段触れられない場所はそれだけ敏感で、無意識のうちに逃れようと頭上へとずり上がる。

「逃げるな。」

楽しげな口調で言った三城は、けれど幸田を追いはしない。

体勢はそのまま、三城の手が幸田のシャツをめくり上げる。

火照った身体を手の平が弄り、わき腹をさすりながら胸の突起探れば、指先に触れたそれを押し転がす。

「ふっ・・・あぁ」

強い快感が、一部分にだけ集まった。

イヤイヤと首を振ってみても三城は止めてはくれず、更に逃げようとしても今度は腰をつかまれている為動けない。

行為自体が嫌な訳ではなく、ただ気持ちの準備が出来ていないのだ。

少し待ってほしい、一息吐きたいだけなのに、それを口にしようとしても唇からあふれるのは意味のない嬌声ばかりで言葉にはならない。

瞼をきつく閉ざすと、パリッと張られていたシーツを握り締め襲い来る悦楽に堪えた。

「あっ・・ん・・・」

幾度と無く双方の胸ばかりを攻め立てられる。

ゾワゾワ感覚が身体を駆け巡り、次第に抵抗する気持ちなど失われていく。

荒い息が上がると、違う感情が沸き起こった。

「はぁっ・・・あぁ・・」

足りない。

もっと強い刺激が欲しくなる。

胸を犯されながら薄っすらと目を開くと、恥ずかしさを堪え幸田はねだるように腰を持ち上げた。

「なんだ?自分からおねだりか?厭らしいな。」

三城がクスリと笑ったかと思うと、すぐに胸と腰から両手が離れていき、静まり返った室内にベルトを外す音が響いた。

カチャカチャと鳴る音に、自分から誘ったというのに羞恥心が刺激される。

「ん・・・」

ジーンズと下着が足先から抜き取られると、既に半立ちになっているペニスが外気に晒されヒクリと震えた。

「あっ・・・はぁ・・」

三城の視線が絡みつくようにそこに集まる。

見られて恥ずかしいという感覚はもはや持ち合わせてはおらず、早く触れて欲しいという気持ちばかりが逸り、しっかりと開ききらない瞳で三城を見つめた。

「春海・・・さん・・」

抱きしめながら、ペニスに触れて、そして扱きあげて欲しい。

幸田のそこは視姦だけで腹につきそうな程持ち上がり、先端に蜜を湛え淫靡に光らせていた。

どくどくと熱が集まるのが自分でも解る。

だが、三城はそこに触れようとはしなかった。

「ぅん・・・」

伸ばされた指は睾丸をそっと包み込み、柔らかく揉みしだいた。

もう一方の手が時折ペニスの根元を擽ったが、それ以上は触れられず太ももや腹部など周囲ばかりを刺激する。

焦れったくて仕方がない。

苛立ちにも似た焦燥は、辛いばかりだ。

「春海、さん・・・」

「どうした?」

三城が一際ニタリと笑う。

幸田の要求を解ってこその笑みなのだろう事は聞かずとも理解できる。

もう・・・嫌だ。

我慢が出来ない。

助けて、触れてくれ、という言葉が幸田の唇から発せられるよりも早く、後孔が圧迫感に震えた。

「くっあぁっ」

息を呑み喉を詰まらせる。

幸田のペニスからは透明な蜜が滴り下生えを濡らした。

押し広げるそれは三城の指で、痛みの伴わないヌルリとした感覚は潤滑油のものだろう。

いつの間に準備をしたのか、三城の周到さぶりにぬかりはない。

それが幸田の最後のはっきりとした思考だった。




 
*目次*