蒼穹を往く歌声     17



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妙に胸の鼓動が早まっている。

驚きを見せたのは拓深だけではなく、拓深が突然動いた事によりイスハークもまた同じくの表情で拓深を見つめ返していた。

「どうかしたのか?」

「・・・だって」

じりじりと後づさり、壁に背を付く。

拓深が逃げるような仕草を見せてもイスハークは怒りもせず何も言わなかったが、ペニスから手を離す事も無かった。

「だって、なんだ?」

油断無く視線を注がれ、黙ってやり過ごす事は出来そうにない。

イスハークの痛い程の視線耐えられず、拓深は彼から目を外すと口ごもりながら呟いた。

「舐められる、かと思った、から」

「・・・。あぁ、そのつもりで居たが?何か不都合でもあるのか?」

「された事、ない」

「まさか・・・」

再度驚いて見せるイスハークに、拓深は顔を反らしたまま薄く頷く。

男性経験は多く、自身が男性器を愛撫したなど数え切れない程ある拓深だが、逆に受ける側となった事は記憶にある限り一度もない。

その為、今イスハークが自身のペニスに口付けをしようとしていると知れば、強い驚きから反射的に身を引いてしまったのである。

「しなくて、いい」

「何故だ。そんな事を拓深に決められる覚えは無い」

「おしっこするとこだし」

「そんな事くらい解っている。理由はそれだけか?ならば、取るに足らんな」

拓深はボソボソと抑揚なく口にし顔を曇らせる。

だが鼻で笑ったように言い捨てたイスハークは、拓深の太ももに手を掛け元の位置まで引き摺り下ろすと、まだしっかりと立ち上がったままの拓深のペニスに食らい付いた。

「やっ・・あっぁ・・・」

太ももを撫でられながら熱い粘膜に敏感な部分が覆われる。

未知の激しい刺激に耐えるよう、拓深は強く瞼を閉ざした。

アナルを無闇に突き立てられるばかりが拓深のSEXだった為、ペニスを刺激される自体あまり経験は多くない。

あったとしても乱暴な手淫しか覚えが無いというのに、優しくこんなにも熱い口内で甘い愛撫を受ければ、思考が遠のくのはあっという間であった。

「んっ・・・ふっ・・・ン」

「どうだ、拓深。気持ち良いか?」

「ぁ・・ん。・・うん」

「良かったら良いと言え」

「良い。すごく、気持ち、良い・・」

ペニスを咥えられただけでもう、何が何であるか解らなくなっている。

イスハークの薄い舌が裏筋を這い上がりピアスの嵌められた付け根まで来ると、亀頭を柔く食む。

先端のピアスごと亀頭を咥えられれば、割れ目を舐められ背中に痺れが走った。

「あっ・・・ぁ、んっ」

こんな感覚は知らない。

彼とのSEXは拓深にとって知らない事ばかりであったが、口淫というのはその中でも最たるだ。

つい逃げ腰になり頭上へずり上がってしまうと、イスハークはすかさず拓深を引きずり降ろした。

片膝を立てさせられ大きく開かされる。

ペニスを扱かれながら睾丸をも食まれ、競り上がる嬌声に息をするのも苦しくなった。

「可愛いな、拓深は。ペニスも小さいが玉も小さい。だがしっかりと感じるようだな。可愛い声で啼いているじゃないか」

イスハークの淫靡な言葉の数々ももはや理解出来ず、拓深は知らずうちに腰を突き出すまでになっていた。

もっとしてほしくて、けれど求める言葉は知らなくて。

苦しいまでに強い快感に涙目となり急所を晒すしか出来ずに居ると、イスハークを何も言わずペニスを深く咥えた。

「あぁっ・・・んっ・・っあぁぁ・・や、ぁあ・・」

ひと際高い声を上げ、拓深は目じりに貯めていた涙を頬へ零した。

グチュグチュと亀頭を舌と唇で弄んでいたイスハークは、そうする一方で後孔へ指を差し込んだのである。

一度に数本を一気に奥まで挿入されればそれだけで背が反ってしまうというのに、その上亀頭を熱い舌で刺激されているので思考が真っ白になる。

イヤイヤと首を振って見せてもイスハークは手も口も離してはくれず、駆け上がる快感を耐えるのが困難になっていった。

彼の指は体内をかき回し、舌先は先端から溢れる蜜を舐め取る。

膝を立てた足の太ももを押さえつけるイスハークの手に手を重ねれば、拓深は蚊の鳴く声で呟いた。

「・・・・も、でる。・・離して」

腰を引きイスハークから離れようとする。

このままでは体内から放出されるものを彼に掛けてしまう。

だというのに、それが解っているだろうにイスハークはしっかりと奥まで拓深のペニスを咥え込むと、そのまま上下に唇で竿を扱いた。

「や、いすはーく、やめ・・・」

その上舌は裏筋を這っているとあれば拓深の限界を超えさすなど容易く、拓深は我慢らしい我慢も出来ないままそこへ───イスハークの口内へ欲望を放出した。

連日のイスハークとの性交により薄いだろう精液を、彼は難なく嚥下[えんか]する。

「薄いが、旨いな。今度は濃い物も飲んでみたいところだが、当分それは無理そうだ」

「ハッ・・・ぁ、はぁ・・・」

胸を上下させ荒い呼吸を繰り返す拓深の隣に横たわったイスハークがその額にキスを落とす。

何故こんな事をしたのか、そして何故あんな不味いものを平然と飲み下せるのか、不思議でならない拓深を他所にイスハークはさも満足げに拓深を抱きしめた。

「拓深。良かったか?可愛いな。俺はそんな拓深を見ているだけで今にもいきそうだ」

戯言か本心か、そんな判断も付かない。

ただ解るのは、イスハークの腕は優しくて、そしてそこに包まれているのはSEX以上に気持ちが良いという事である。

達したばかりのまどろみの中甘い感覚に浸っていると、不意に彼の腕が離れて行き身体を裏返された。

「俺の我慢は限界だ。悪いが早いぞ」

耳元で熱い息を吹きかけられ、イスハークは力の入らない拓深の腰を持ち上げるとその後孔へペニスを突き立てたのだった。