三城×幸田・お礼用SS
(クリスマスの日の夕方に)



「それじゃ、また・・・」

職場である予備校の近くまで送ってもらった幸田は、三城の車が見えなくなっても尚そこに立ちつくしていた。

昨日の夕方から起こった出来事を思うと、そこに一人で立っている事が実に現実味が無い。

昼過ぎに横浜のホテルを出た二人は、昼食を摂った後、一度三城の自宅に戻っていた。

いつの間にか幸田の私物は三城の自宅に届けられており、

「着替えとして置いておけ」

という言葉に促されるまま、鞄以外の一式が三城のクローゼットの中に並ぶ事となった。

新しい物特有の張りのある高級ブランドスーツの中に、自分のくたびれたスーツがあるというのは、恥ずかしいというか申し訳ない気分になったが、気にしない事にした。

三城と居る限り、そんな事に一々拘っていては身が持たないだろう。

圧倒的な財力の差は仕方が無い。

自分だって懸命に働いての結果なのだ。

納得はしているし、特に(元々高くない)プライドを傷つけられているとも思わない。

だがそうは言っても、ここまでのプレゼント攻撃を喰らった後に渡すには、幸田の用意したそれは余りに貧弱に思えた。

結局渡す事の出来なかったプレゼントが、鞄の中で眠る。

「どうしよ、、、」

プレゼントを用意していなかったと思われているだろう事も「どうしよう」なのだが、残ったコレの行方も「どうしよう」だ。

三城の為にと用意した物を自分で使う気になど到底なれない。

いっその事渡してしまおうかとも思ったが、これでは指輪一つにも全く敵わないだろうとため息が漏れる。

「、、、ハァ」

仕方が無いと思ったばかりの「財力の差」に辟易しつつ、幸田はとりあえずといった足取りで歩き始めた。



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