三城×幸田・お礼用SS
(恭一欠乏症の三城)


日本を離れ本社のオフィスで一人、三城はパソコンのモニターを眺めながらため息を吐いた。

渡米して数日、当初の出張日程を超過してから3日は経っている。

その結果様々な弊害も出ており、三城はアメリカに居ながら日本支社から送られて来る業務もこなさざるを得なくなっていた。

仕事が増える事はこの際仕方が無い。

休息時間を削ればなんとか処理は出来たが、けれどどんなに三城が頑張っても、本件が終わらなければ帰国は出来ない。

「・・・くそ、あの体たらくめ」

本音半分八つ当たり半分。

取引相手の社長の顔を思い出しては毒を吐いた。

早く日本に帰りたい。

もう何日幸田に会っていないかと考えれば、それだけで気落ちしてしまいそうである。

海外出張など三城にとっては何も特別な事ではなかった筈だというのに、最近はそうも言っていられなかった。

幸田と離れなければならない、というのは三城にとって明らかなマイナス要因だ。

何をしていてもふとした時に幸田の面持ちを思い出してしまい、そして彼の姿を探してしまった。

絶対にアメリカに居る筈などないと解っているというのに、街中やオフィスですれ違った黒髪に振り返ってしまう。

会食で訪れたレストランが旨ければ幸田を連れて来たいと考えてしまうし、ブティックの前を通り掛かればつい幸田に似合いそうな物を選んでしまう。

今の三城を一言で表すならば、「恭一欠乏症」と言ったところか。

電話をした際にそれを幸田に伝えても、幸田は冗談だとしか受け取らず笑って流されてしまうばかりだ。

きっと、幸田は解っていない。

幸田が考えている以上に三城は幸田を想っているのだ。

それこそ、あのワーカホリックと言われた三城が仕事よりも優先したいと考えてしまう程に。

「・・・さっさと終わらせてやる」

一刻も早く幸田に会う為に。

仕事を投げ出すなど出来ないならば、全速で片付けるしかない。

主導権を持ってない為に仕事が進まないと言うならば、主導権など能無しから奪い取るまでだ。

一つ大きく呼吸をした三城は、冷淡に研ぎ澄まされた表情を浮かべキーボードを打ち鳴らしたのだった。



+目次+