近藤×琥珀・お礼用S・S
(裸エプロン・1)


琥珀は困っていた。

近藤との愛の巣である都内高層マンションの上層部の自宅。

そのリビングに置かれたソファーに一人座り、一枚の布切れを前に激しい逡巡に襲われている。

近藤はまだ帰っていない。

それというのもつい先刻、近藤の組の組員で何かと琥珀の世話を焼いてくれている若者がある物を置いて行ったのだが、琥珀にはコレを着る勇気が今ひとつ持てずにいたのだ。

両端を摘んで目の高さまで持ち上げた「コレ」はどこからどう見てもエプロンだ。

ただのエプロンならばどんな形状だろうが、色もデザインも琥珀は気にせず使うのだが、コレは一味違っていた。

胸当てはハートで、フリルもこれでもかとついている。

その上透ける素材の薄いピンクで、身体を覆う面積は異常に少ない。

これでは料理を作る雰囲気には到底なれないだろう。

極めつけはコレを置いて行った組員の言葉で、

「是非コレを着て組長を迎えてあげてください。裸エプロンは男の夢っすから。」

との事だ。

と言う事は、裸でこれを着ろ、と言う事なのだろう。

「うぅぅどうしよ。」

大手を振って着たい訳がない。

でも、それで愛する近藤が喜ぶならやぶさかではないだろう。

だがそれをして近藤が喜ばないのであれば、自分はただのバカだ。

琥珀は小さく唸りながらその面積の少ないエプロンを見つめ続けたのだった。


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