近藤×琥珀・お礼用S・S
(バレンタイン・1)


夕方、近藤宅のキッチンに立つ琥珀の耳に、付けっぱなしのTVからニュースが聞こえて来た。

政治のニュースが刑事事件に変わると、琥珀は少しだけ表情を強張らせる。

暫くすると、アナウンサーの声が一際明るいものに変わり、芸能ニュースへと移った事を知らせた。

良かった、今日も暴力団関係のニュースは報道されていない。

報道規制という物もあるので、「ニュースが無ければ安心」、という訳ではないが有るより無いに越した事は無い。

暴力団関係の事件が起これば、多かれ少なかれ近藤にも関わりが出てくる。

近藤に危険が及ぶのも、忙しくなるのも断固としてご遠慮願いたい。

安堵に表情を緩めた琥珀は、包丁を握り直し野菜を切るのを再開した。

『話題のコーナーです』

若い女性アナウンサーの、作ったような可愛らしい声が聞こえた。

楽しげな音楽も流れてきたので琥珀は惹きつけられるようにTVに視線を向けると、そこには色取り取りのラッピングが施されているチョコートが映っていた。

『もうすぐバレンタイン。あなたは誰に贈りますか?』

数々のチョコレートを紹介した後に、そんな言葉を残してそのコーナーは終わった。

「、、、バレンタインか」

料理を作る手を休め、思案するように天井に視線を向ける。

思い描くのは誰あろう、近藤だ。

「彰さん、チョコレートなんて食べ無そう」

独り言を呟くと、続いて首を捻る。

先ほど見た特集では、甘くないチョコレートや、プレゼントだけ、なんてのもあった。

それならば贈っても構わないかも知れない。

「大切なのは気持ち、、、、かな」

琥珀は肩を竦ませると一人小さく笑み、楽しげな計画を考えながら今夜の夕食作りを再開したのだった。


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