近藤×琥珀・お礼用S・S
(バレンタイン・2)


バレンタイン当日の朝。

近藤がいつも通りに仕事に出かけると、琥珀はすぐさまキッチンに立った。

チョコレートを贈ろうと決めた時、一番に考えたは、「高級品も希少品も彰さんならいくらでも手に入るだろう」という事だ。

ならば手作りしかない、と考えに至るまでに時間は掛からず、その日からチョコレート作りを調べ始めた。

今では毎食事に、そこらの主婦顔負けの手料理を披露する琥珀だが、近藤と暮らすまでは料理の経験などほぼ無いと言っていい。

同居の父が暖かい手料理よりも、手っ取り早い出来合いやレトルトを好んだからだ。

だが近藤に対する強い愛情と持ち前の真面目さで、琥珀はめきめきと料理の腕を上げていったのが、お菓子作りとなると初めてだった。

「、、、難しい、かな?」

アルコールを嗜む姿は頻繁に目にしていても、甘味類を食している所など見た事がない。

大きなパフェを片手に持つ近藤を想像した琥珀は、眉間に皺を寄せてからプッと吹き出した。

あの屈強な容姿からは想像する事も難しい。

それでもチョコレートを贈りたいと思ったからには、出来るだけ食べやすい物にしたかった。

甘すぎず、奇抜さを狙わず、単純に美味しいと思ってもらいたい。

その為の手間なら惜しむつもりは無かったが、技術が追いつかず失敗するのは避けたい。

散々悩んだが、一つのレシピに絞り込む事が出来た。

定番の、ビターのトリュフチョコレートだ。

レシピを作業台の上に置いた琥珀は、すでに買い揃えていた材料を各所から取り出す。

「よーし、やるぞ」

腕捲りをし気合を入れた琥珀は、レシピと計りを見比べながら、何度も失敗をしながらもチョコレートを作り続けたのだった。

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