三城×幸田・お礼用S・S
(事故直後)



点滴が規則的に落ちる。

一人になった病室で、幸田は今日自分に起きた事を思い返していた。

数年、、、たぶん三年ほど付き合った恋人と別れた。

理由は男同士にありがちで、結婚するから、だそうだ。

嫌いになったり、倦怠感からの別れならともかく、そんな理由だけでは納得出来なかった。

それ以上に、「でも別れたくはない」と言う身勝手さに、百年の恋も冷める。

二人で飲んでいた、そっち系のバーを逃げるように飛び出し、自宅の近くまで戻った。

その後、オヤジが一人で切り盛りする居酒屋に入り、焼酎を割もせずに煽ったまでは覚えている。

理不尽さに憤り、どうしてこの国は同性同士の結婚が認められていないのだろうと嘆いた。

認められていたって相手がそれを望んでくれた保証なんて一つもない。

思えば営み以外で僕達は愛の言葉をほとんど交わしていないのではないだろうか。

そう思うと、相手の気持ちどころか自分の気持ちすら疑わしくなる。

所詮そんなモノなのだ。

ガチャリとドアノブを回す音が聞こえ、幸田を現実へと引き戻した。

自分を跳ねた、あまりに端正な面持ちの男。

その男を見た瞬間、思いを馳せていた苦渋は、彼方へと消え去っていたのだ。


+目次+