三城×幸田・お礼用SS
(事件の朝の三城)



早朝5時半頃。

新婚旅行だというのに、いつもよりも早い時間に自然と目覚めてしまった三城は、隣で眠る幸田を起こさぬよう、そっと布団から抜け出した。

「ん、、、」

普段よりも重い掛け布団が動いた事で幸田は身を捩ったが、起きる事はなかった。

三城は静かに襖を開けると隣の部屋へと向かう。

既に三城の定位置とばかりになっている、座卓の上にPCや灰皿が置かれている前に座った。

置きっぱなしになっていた、過剰によれたソフトケースの中から煙草を取り出し、愛用のライターで火を付ける。

スッと一筋の紫煙が登っていった。

「はぁ、、、」

先ほど出てきた襖を見ると、無意識にため息を吐いた。

また、やってしまった。

幸田が疲れている事をしっかりと認識しているというのに、三城は欲望を抑えられないでいた。

自我の管理を出来ないで大人とは言えない。

常々思っていたはずなのに、相手が幸田となると、三城もまるでそうなど出来なかった。

不可能だと思いながらも、幸田をこのまま何処かに閉じ込めてしまいたいとすら思ってしまうのだ。

特に幸田が、誰か自分以外に笑いかけている姿をみると、三城の中に宿るマグマは沸点を目指し、欲望のままひたすらに幸田を求めてしまう。

そして普段の冷静さを取り戻し、行為に疲れぐったりと意識を失う幸田を目の当たりにすると、激しく後悔するのだ。

そんな自分に苛立ちながらも、他人へと笑顔を向ける幸田にも苛立った。

悪循環で、なんとも勝手な言い分だという事も解っている。

「馬鹿だな、俺は。」

いくら「嫁」といっても法的な拘束は全くなく、それ以上に心は縛れないのだ。

三城は短くなった煙草を灰皿に押し付けて消すと、流れるような動きで新しい煙草を取り出そうとした。

だが、ソフトケースの中は空だった。

「くそっ」

いつも以上のハイペースで喫煙した為、ストックの煙草が無い。

三城は仕方がなさそうに立ち上がり、着替えを済ませると煙草を買うため部屋を出たのだった。



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