三城×幸田・お礼用SS
(過ぎた愛・裏話・三城視点)



何をするでもなく、ソファーでダラダラと(傍から見たらイチャイチャと、だろうが)しながらTVを見ていた時である。

幸田が何気ない口調で口を開いた。

「そう言えば、今朝三城さんの夢を見ました。」

幸田を後ろから抱きしめていた三城は、ドクリと嫌な程に鼓動が高鳴った。

最愛の幸田が自分の夢を見た、というのは夢に見るほど愛してくれているからだろうか。

きっとおとぎ話のようなラブラブイチャイチャした甘いストーリーだ。

瞬時に脳裏を過ぎった自らの妄想に、三城は綻ぶ頬を必死に押さえていたのだが、続けられた幸田の言葉は酷く期待外れな物だった。

「三城さんが、『お前は俺の物だ』みたいな事を言って、僕に暴行して、首輪つけて、監禁する、って言う夢を見たんですけど。」

幸田が語った夢のあまりの内容に、三城は相槌も打てない。

甘い夢どころか必要以上に乱暴だ。

たかだか夢だ、と聞き流せない自分が情け無い。

それはきっと、実際に何度も「幸田を閉じ込めてしまいたい」と思った事が有るが故の引け目だ。

さっきとは打って変わり引きつる頬を隠しもせず、三城は幸田の後頭部を見つめる。

「まさか俺がそんな事をするとでも?」

「ちっ違いますよ。ただ、怖い夢だったな、って。・・・でも、しないですよね?」

幸田の乾いた笑い声が無性に勘に触る。

冗談を言うならもっと笑い飛ばしてくれたら良いのに。

普段の三城なら「出来るものならしたいさ」と、こちらも冗談だとばかりに笑いながら言うのだろうが、本心から思っている為それを口に出来ない。

「するか、バカッ」

気持ちを隠す為、勢い余り三城は幸田の後頭部を軽くペシリと叩いてしまい、(実際の痛みというよりは反射的なモノだろうが)幸田が「痛っ」と肩を竦ませた為、早々にそれをも後悔する。

冗談にしたって幸田を叩くなんて、何をやっているんだ──幸田と相対する時の余裕のなさはいつもだが、今日は普段以上だ。

だがそれを気づかれては恰好が悪いだろうと、三城はため息を押し殺した。

「でも、監禁したいほど愛してくれるのも幸せかもしれませんね。」

そんな三城の気持ちを知ってか知らずか、幸田は焦った声でフォローに回る。

三城の機嫌が悪いと思ったのだろう。

その言葉を聞くと、呆れるほど単純に三城の心のモヤモヤとしたものは綺麗に無くなった。

「バカか、お前は。」

ため息混じりに呟いてみせ、腕の中の愛しい存在を、更に愛しく感じた。

本当にバカだ、そんな事を言われれば本気にしてしまうじゃないか。

たぶん、後にも先にもこんなにも愛する人は現れないだろう、大切な大切な存在。

自分の言葉にクスクスと笑い出す幸田を、三城は強く抱きしめる。

正夢にならん事を───幸田以上に祈る三城だった。



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