三城×幸田・お礼用SS
(恭一の欲望)



それは多分、三城の気まぐれだ。

「え?春海さん良いの?」

「嫌なら良い」

「いっ、嫌じゃないよ。っていうかむしろ、嬉しい。だって・・・だって春海さん、いっつも嫌って言うから」

「だから、たまにはと思っただけだ」

見慣れた自宅の寝室とベッド。

有り触れた、二人で過ごす夜の時間。

珍しく早い時間に帰宅した三城と揃って恭一の手料理を食べ、暫し並んでテレビを見た後にどちらともなく風呂に入る雰囲気になり、眠くもないのに風呂上りの身体で寝室に傾れ込み現在に至る。

間接照明だけが灯された室内は薄暗い。

目が慣れてきたので相手の姿形と顔が見えるが、他の物など見ようと意識をしなければ目にも入らない。

それが、どこか気分を変えるのかもしれない。

ベッドの端に腰かけた三城が、ベッドの上でペタンと座る恭一を眺め眉間に皺を寄せる。

風呂上りというのもあり互いに全裸で、今しがたまで肌を触りあっていたというのに眉を潜める三城は、決して不機嫌だからではない。

言うなれば、照れ隠しだ。

「無理にとは言ってない」

「そんな事思ってないし、待って直ぐ。直ぐするから」

「・・・そんなに、急げとも言ってないだろ」

「でも、心変わりされたら困るし・・・」

「俺をなんだと思ってる・・・」

ベッドから慌てて降りた恭一は、三城と向かい合うと流れる仕草でその場に膝をついた。

三城の膝にそっと手を置く。

彼を見上げるその眼差しは、暗がりの中でもはっきりと欲に揺らいでいた。

「凄く、久しぶり」

「一々そんな事を言わなくて良い」

「あ、ごめん。でも・・・うん。やっぱり、嬉しいね」

「・・・止めさせられたくなかったら黙ってしろ」

「そうだね、早くする。ごめん」

「そういう意味じゃない・・・っ」

三城の膝に置いた手を、その太ももへと滑らせる。

そうしてそこを開かせると、恭一は中心の茂みから聳えるペニスの根元を支え、躊躇いなく舌を伸ばした。

「んっ・・・」

「きょう・・・」

先端を舌先で舐め上げる。

そうしたかと思うと、すぐに唇を大きく開き、それを深く咥え込んだ。

三城のペニスが、強い張りを見せ舌を押し返す。

その感触が嬉しくて、知らずうちに瞼を閉ざすと恭一は夢中でそれにしゃぶりついた。

恭一は真正のゲイで、思春期の頃から性の対象は男とその身体だ。

ノンケの男が女性の身体を見たいと思うように恭一は男の身体を見たいと思うし、胸を触りたいと思うように、ペニスを触りたいと思う。

セックスにおいてもそうで、愛する彼の胸板や腹や、ペニスにも触れたい。

男が自然と持つ支配欲で、相手を求めたいと恭一にも欲はある。

だが、元はノンケで、そのうえ自尊心の高い三城にはそれをなかなか受け入れてもらえないようだ。

元より女性にも愛撫をされた経験も、させた経験も、それどころか欲した経験も少ないと言う三城は、恭一にもそれを求めないどころか、拒否をする場面が多い。

いくら恭一が訴えても受け入れてもらえず、反論をする前に甘いキスで「今度」というとりとめもない約束だけで流されてしまう。

数えきれない程、セックスの二度に一度は訴えていると言うのに受け入れてもらえなかったが、それが今こうしていられるのは、はやり三城の気まぐれとしか言いようがない。

「クッ・・・」

「ふっ・・・」

根元を支えた手を、ゆっくりと上下させる。

空いている片手は彼の太ももに添えられていたけれど、そこを辿り中央へ向かわせると、竿の下で引き締まりを見せる袋を手のひらに包み込んだ。

「ハッ・・・春海、さん・・・良い?気持ちい?」

「そりゃ・・・恭一だからな。あまりしゃべるなと、言ってるだろ」

「ん・・・ごめん」

彼のペニスから唇を離さないまま、上目に眺める。

ベッドに手をつく三城は、眉間に皺を寄せたまま荒く息をついた。

ペニスが好きで、ペニスを咥えるのも好きで、けれどそれを求めるのはそれだけではない。

「春海さん、好き。どうしよう」

「なにが・・・どうしようだ。そんな・・・」

「だって・・・」

この手で三城に与えられる快感。

それを施せる機会すらなかなかに与えて貰えないが、それが嬉しくもある。

頭上の三城は笑み一つ浮かべられないようで、荒い息と、時折声が漏れる。

咥え込んだ唇で扱きあげると、先端の窪みから独特の体液が溢れた。

「ハッ・・・・ンッ・・・ん」

「おい、恭一・・・」

「あっ・・・はっ・・・・」

「しゃぶりながら、そんな声出すな。反則だろ・・・」

「え・・・?何・・・んっ」

「そろそろ、出るぞ。離れるなら今の内に・・・」

「んっ」

三城の手が、恭一の肩を押す。

だがそれに逆らうように、恭一は両手で彼の太ももを掴むとペニスを奥まで咥え込んだ。

唇をすぼませ、舌で裏筋を舐め上げる。

気を抜けば閉じてしまう瞼を意図的に開けると、頭上の三城をしっかりと見つめた。

「恭一・・・クソッ」

肩を押していた三城の手が、恭一の髪に触れる。

そこを撫でられたと思ったのもつかの間、無意識なのか三城の手が恭一の頭を抑え込んだ。

それがどことなく嬉しくて、深く咥えた場所でペニスを強く吸い上げた。

「クッ・・・」

「ん・・・ンッ・・・ん・・・」

すると次の瞬間、恭一の口内に、独特の生臭さが広がった。

青臭く、ドロリとしている。

味覚としては決して旨い物ではなかったが、それが口の中に広がるよりも早く、胸を満たされるものがある。

「・・・恭一・・・さっさと離せば・・・」

「ンッ・・・別に、嫌じゃないのに・・・」

三城の証を、喉の奥へ流し込む。

口角を流れるのは自身の唾液で、それを手の甲で拭いながら恭一はベッドサイドにへたりこみ頬を緩めた。

「春海さん、好き」

「・・・なんだ、それは」

「春海さんは、やっぱり優しいね」

「だから、それはなんだと・・・」

「ううん。そう思っただけ。ねぇ、またさせてね?」

「・・・『今度』な」

「えー、それって・・・あっ」

「不味いもの飲まなくて良い。恭一はただ、俺の下に居たら良いんだ」

荒く浅かった呼吸を整え、三城が恭一の二の腕を掴む。

彼の眉間の皺は刻まれたままで、笑みの一つも浮かべない。

けれどその瞳の奥では、欲の色が濃くなったと暗がりの中でも見てとれた気がした。

「はっ・・・春海・・・んっ」

「次は、俺の番だろ?覚悟しておけ」

「あっ・・・」

三城が、耳元で囁く。

その吐息は熱く、そして甘い。

それがいつも以上に感じられたのは、恭一の気のせいかそれとも。

掴まれた腕をベッドに放られ、仰向けに転がる。

そうして覆い被さった三城により、既に形を変えていた恭一のペニスが更に張り詰めるのは直ぐだった。




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