三城×幸田・お礼用S・S
(退院後の電話)


深夜0時になる少し前、幸田の携帯が鳴った。

響き渡ったメロディーが着信の相手を教える。

帰宅後、脱ぎっぱなしにしていたスーツを慌てて拾い上げると、ポケットから携帯を取り出して通話ボタンを押す。

「もしもし、三城さん?」

あまりの慌てぶりに、声が上擦ってしまい恥ずかしい。

それを知ってか知らずか、受話器から聞こえる三城の声はすがすがしい程に凛としている。

「あぁ、今帰りか?」

誰よりも愛しい、最愛の彼の声。

一日の疲れも吹き飛ぶというものだ。

「はい、さっき、、、15分くらい前に家についた所です」

2Kのアパートに存在感を持って鎮座するパイプベッドにドサリと腰をかけ、壁掛け時計をチラリと見た。

正確ではないが、だいたいそんなものだろう。

「そうか、帰ったら連絡いれろよ?心配する」

事もなげに言うその態度に、幸田の頬は緩んで仕方が無い。

早く会いたい。

言ってしまえば我慢出来なくなりそうで、出かけた言葉を飲み込むと、別の言葉を口にした。

「大好きです」

「あぁ」

クスリと笑った三城の声が、「俺もだ」と言っている風に聞こえた。


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