三城×幸田・お礼用S・S
(車の中で)



「それにしても、こんな車ポンと買っちゃうなんて凄いですね」

改めて車内を見渡した幸田はため息交じりい言った。

車自体に興味がないため、どこがどう、と言われても困るのだが、なんとなく高級感に溢れている。

元々が高級車というのもあるのだろうが。

「別に、ポンと買った訳じゃない。」

「ローンですか?3年くらい?」

言ってから、「しまった」と思った。

込み入った話しをしすぎただろうか。

けれど三城は気にした様子もなくあっさりと答え、幸田は安堵の息を吐いた。

「いや、一括だ。ローンは嫌いでな」

やっぱり「ポンと」じゃないかと内心毒づく。

ローンが嫌いという事はあの家も一括なのだろう。

28歳にして、とんだ財産持ちだ。

「はぁ、、、僕だったらローンでだって無理ですよ」

ため息と共に口から零れてしまったのは、嫌味でも僻みでもなく、ただの事実だ。

「ローンは怖いだろ。1年、いや、半年先の事だって解らないからな。」

1年どころか10年先の未来予想図を組み立ててそうなのに。

それを口にすると、三城は含み笑いを浮かべた。

「そりゃ予想図はあるさ。でもそれは予想図だろ?実際は解らない。もちろんそれを目指して頑張るが、ダメだった時に抱えている物があったら余計に辛いだろ。」

自信家だとばかり思っていたが、そんな事も考えていたのか。

意外すぎる答えに幸田は言葉に詰まった。

幸田の心中を察するかのように、三城は殊更明るく言う。

「だが、一つだけ解ってる事がある」

キッとブレーキの音がして、車が止まった。

信号待ちになったのだ。

「何ですか?」

顔をこちらに向け見つめてくる三城に、幸田は引き付けられるように動けず見つめ返した。

「何年先だって、お前と一緒だと言える」

真摯な三城の言葉に、胸に熱いものがこみ上げ、

「僕もそう思います」

赤面しながら小さく答えるのが精一杯だった。


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