三城×幸田・お礼用SS
(明かりの灯る家)



ある、土曜日夜。

幸田は自宅へ帰る道すがら、緊張が高まって仕方がなかった。

それというのも、今日は幸田の家に三城が来ているのだ。

昼間、幸田を自宅に送ってから職場までも送迎した三城は、その後どうしたかは知らないが、幸田が戻る午後11時前には家に行こうと思うと言っていた。

土曜は三城が休みのため、今晩も共に過ごすためだ。

三城としては是非迎えに行きたかったそうなのだが、それは幸田が強く辞退した。

何度も送り迎えをさせては悪い、という思いももちろんあったのだが、それ以上に、、、、

自宅マンションの前に着き自分の部屋を見上げると、そこから見える唯一の窓からは煌々と明かりが漏れている。

幸田の面持ちは緊張から幸福へと変わり、頬が緩んでしまう。

人の待つ家に帰るなど、どれくらいぶりだろう。

成人して間もなく天蓋孤独の身となった幸田にとって、それは特別な事だった。

今日一日でもいい。

錯覚でもいいから「家族」を感じたかった。

逸る気持ちを抑えながら、幸田はコンクリートむき出しの階段を音を立てずに駆け上がっていった。



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