三城×幸田・お礼用SS
(クリスマスの準備)



昼休み、個室として与えられている営業部長室にて、デスクに向かったまま三城は一枚の名刺を取り出した。

数ヶ月前どういう風の吹き回しか、突然参加してみようと思い出向いた高校時代の同窓会で再会した、一人のクラスメイトの連絡先が書かれている。

昔の面影を残していると言えば残してはいたが、進学校だった事を思えば彼の変化は驚くべきものだった。

そう思うと三城はフッと失笑を浮かべる。

つまらない先入観と固定概念に囚われてしまうのは相変わらずだ。

幸田に出会うまでの三城は、そんなものが全てだった。

学歴がなければ頭は悪く使えない、身なりがよくなければルーズで使えない。

つまるところ相手を型に填め、大抵は自分より劣ると見下していた。

だが最近はそういった傾向が「まだマシ」になっている気がする。

それは幸田と出会い、散々に振り回されたからだろう。

型に填めようとしても填ってなどくれず、コロコロと子供のように表情を変え、泣き笑う。

しかも性質[たち]の悪い事に、幸田自身は「振り回している」という自覚がまるで無い。

他人の名刺を見つめながらも、つい幸田の事を考え頬が緩んでしまう。

「時間がないな。」

デスクの上に置かれた電話に手を伸ばしかけたが、思い直すと胸ポケットから携帯を取り出し、名刺に書かれた番号にダイヤルをした。

「、、、もしもし、三城だ。あぁ、ちょっと頼みたい事があってな」

受話器の向こうからは驚きながらも肯定的な声が聞こえる。

「、、、じゃぁ、クリスマスに」

微笑を湛えた三城の面持ちは、とても楽しげだった。



+目次+