クライン×北原・お礼用SS
(クラインの気持ち)



腕の中に北原を閉じ込め、クラインは瞼を伏せた。

まさか本当に手に入るなんて。

それもこんな短期間でなど予想だにしておらず、最後は北原から転がり落ちてくれた形にも至極満足している。

「ナオヤ・・・」

疲れ切って眠る北原の頬に、クラインは唇を落とした。

初めて会った時から恋焦がれた日本人。

凜とした眼差しに黒髪が美しく、そのパーティーに居たどんな女優やモデルよりも目を奪われた。

挨拶程度の言葉を交わしただけであったが、その日から北原の事がどうにも忘れられなかったのだ。

高層ビルの窓から眺めるニューヨークの街並み。

そのどこにも彼が居ないと思えば、酷い空虚感に襲われた。

三城が本社に来るならば一緒に召還しようと考えていたが生憎叶わず、ならばと自ら来日したのである。

親の七光りと言われないよう努力し皆に実力を認めさせ得たCOMの地位だが、そんなものを捨てるのは容易だった。

部下は驚いていたし、日本に留まると言えば母は寂しがっていたが、社長である父は案外簡単に容認してくれた。

通常ならばもっと下の役職の者が任命させられただろう所にクラインが収まった事を疑問に思う者を居ただろうが、今まで真面目に働いてきたのだ、一生に一度くらい親の力を使っても許されるだろう。

「ん・・・」

北原が、小さく鼻を鳴らしクラインの腕にすり寄った。

まるで子猫のような仕草に頬が緩む。

オフィスとベッドではこんなにも違う顔を見せてくれるなど、想像もしていなかった。

「ナオヤ、愛している・・・」

自分はいつまでもこの狭い島国に居られない。

───その時この腕の中の彼は、何を選ぶのだろうか。

願わくば、共に生きる道を。



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