ヤクザものシリーズ・お礼用SS
(霧島組のけが人・後編)




案内された医務室は、そんじょそこらの外科医院に引けを取らないくらいの設備が揃えられていた。

中には資格者が居る場所以外での所持が違法な薬なども沢山あった気がしたけれど、それは見ていない事にする。

ヤクザの事務所で法を振りかざすなど、体力の無駄遣いではないか。

それに、それらの薬品があったからこそ迅速適切な処置が行えたともいえる。

結局約束の15分を少しオーバーしてしまったけれど、中里は最後まで治療を許可してくれたのだった。

「学さん、ありがとうございます」

なんとか大事を免れたトシを帰し、湯沢は約束のレストランへ向かう為中里の愛車の後部座席に納まっていた。

中里の機嫌も先ほどより良くなっているようだ。

「約束忘れんじゃねぇぞ」

「解ってますよ。で、何を聞けば良いんですか?」

「ここで言っても良いのか?」

「へ?早く聞いておいた方が心積もりが出来て良いです、けど」

中里でも言いにくい事なのだろうか。

けれど含みを持たせた彼の言葉に疑問ではなく危険を察するべきだった、と後悔したのは後の事である。

顔を覗き込む湯沢にニッと唇を吊り上げた中里は、声を潜める事もまして悪びれる事もなく口にした。

「俺のちんこしゃぶってザーメン飲め。簡単だろ?」

「なっ・・・な、」

確かに簡単だ。

白濁を飲むのは辛いがきっと我慢して出来る程度だろう。

だが問題はそこではなく、こんな場所で何を言っているのだという事である。

運転席にも助手席にも中里の配下が座っているというのに。

瞬時に赤面を浮かべる湯沢に、中里は面白そうに見返すばかりなのだった。





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