三城×幸田・正月帰省・編・1(プロローグ)



それは、突然の一言だった。

「正月、実家に帰ろうと思う。」

クリスマスの喧騒を直前に終えたある日の深夜。

いつものように三城の家でソファーに寄り添い座り、アルコールを飲んでいた時、三城が脈絡なく口を開いた。

あまりにいきなり過ぎて幸田の反応は遅れたが、だまってコクリ頷く。

そんな事、全く構わない。

正月の纏った休みを共に過ごせない事を思えば多少の寂しさはあるが、三城の実家が東京都内にあると知っているが故に、声を荒げて反対する理由は一つもなかった。

毎年正月に帰っている訳ではないらしい。

だから家を空けても一泊、へたしたら日帰りだとタカをくくっていたのだ。

「そうですか、泊まりですか?」

「いや、日帰りだ。」

「あ、だったら他の日は一緒に過ごせますね」

予想通りだ。

なんだ、何て事無いじゃないか。

だが、ニコリと微笑んだ幸田の顔が、一瞬にして驚愕へと変貌する事となる。

「お前も連れて帰ろうと思ってるんだ。」

「へ?、、、えぇぇぇぇぇ!?」

驚きのあまり呆然と口をあけて三城を見つめる幸田の手の中で、綺麗に磨き上げられたシンプルな指輪だけが事態をあざ笑うかのように光り輝いていた。



*目次*