別れ道・3



安っぽいスプリングが軋むベッドの上で、真田はうつ伏せになり尻を高く上げていた。

羞恥からか興奮からか、白い肌は薄ピンクに色づき、ほんのりと汗もかいている。

「可愛い」

「、、、止めて」

30代も後半の自分が可愛くなどあるはずがないと真田は首を振るが、澤野は気にも留めず、真田の後孔に顔を埋めた。

「あっ、、、」

真田はシーツにしがみ付き、崩れそうな腰を堪えた。

恥ずかしさから顔は真っ赤になるが、自身は固く張り詰めたままだ。

澤野の舌が真田の後孔に差し込まれる。

ネットリとした熱を感じ、異物感よりも快感が際立つ。

抜き差しをされると、その動きに合わせるように声が上がった。

「あっぁぁ」

こんな時だというのに、真田の頭の中に数少ない性交相手の顔が思い出された。

妻・翔子も、始めて抱かれた男高大も、自分の後孔──つまりは肛門を舐めれるだろうか。

ありえない。

そんな事を一言でも口に出せば大問題に発展しそうだ。

真田が余計な事を考えていると察したのだろう、澤野の舌は前立腺だけを狙いグイグイと押し上げた。

「あっだめ、そこだめ、デっでるっ」

シーツに胸や顔を押し付け、尻を一際高く突き上げた真田は声を必死に押し殺して精を放った。

「早かったな」

後方から顔を上げた澤野が意地悪く囁く。

「悪かったな。いいだろ?次は持たせてやる。」

拗ねてみせる真田に、澤野はクスクスと楽しげに笑った。

「本当、お前は可愛いよ。」

「だから可愛いとか言うな、いいおっさんに向かって。、、わっ」

ガバリと上半身を起して澤野を振り返った真田は、すぐに仰向けにされて押し倒される琴となった。

真田を組み敷き、澤野の唇が真田の唇に重ねられた。

直ぐに離れていった唇を開き、澤野はキツイ口調で言う。

「俺がお前を可愛いと言ってるんだ。年とか関係ないだろ。」

あると思う、とは言い返せず、真田は顔を背けた。

内心はとても嬉しいのだ。

誰あろう澤野に、こんな自分が「可愛い」と言われる事が。

「入れろよ。」

ありがとう、の代わりととしてはなんとも直接的過ぎる言葉だ。

澤野は小さく笑むと真田の頬にキスを落とした。

伝わったのだろうか。

「あぁ、言われなくとも。」

澤野は真田の足を大きく開かせ、指で後孔を広げると自身を突き立てた。

ゆっくりと中に侵入してゆく。

「うっ」

「大丈夫か?」

「あぁ、、、」

侵入の衝撃に堪えるように、真田は澤野にしがみつく。

無意識に孔を強く締め付けてしまい、澤野の眉間に皺が寄った。

「ごめ、、、ん」

「いや、俺は大丈夫」

真田が慣れるのを待ち、澤野は腰を使い始める。

「あっぁぁ」

先ほどとは比べ物にならないほどの真田の嬌声が、ホテルの一室に響き渡った。

「愛してる、和馬」

「うっう、、ん、僕もっあぁぁ」

声にならない声で真田も応える。

何度も何度も、言葉通り精が尽きるまで、二人は抱き合った。

交わされる愛の言葉も、喉が枯れるまで囁かれた。



 
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