夜の太陽・昼の月・8


琥珀の身元については、近藤は知り合った翌日に調べ上げていた。

名前は本名。

フルネームは「三原 琥珀【みはら・こはく】」。

年齢は16歳。

最終学歴は中学になっているが、小学校の頃から殆ど行っていないようだ。

琥珀が身を売る理由にも察しはついている。

父親の暴力からだ。

琥珀の身よりは父しかおらず、その父親はなんともだらしのない人間だった。

一時期は何処かの小さな暴力団に所属していたが今はそれすらもなく、博打と酒・麻薬を繰り返す毎日だ。

収入は琥珀が稼いでくる物だけ。

以前は琥珀も普通の仕事をしていたのだが、この不況の中、身体にハンデを負った琥珀の雇用先は無くなったようだ。

金が無くては殴られる。

自分の寝る場所や食事を得る為にも仕事を、身体を売らなくてはならなかったのだ。

それを知って尚、近藤が琥珀を保護しなかったのは、琥珀の心を逃したくなかったからだろう。

近藤に「保護」される事を琥珀が望んでいるかは定かではない。

「保護」と言えば聞こえはいいが、一歩間違えると「軟禁」になりかねないのだ。

琥珀には自由でいてもらいたい。

琥珀が望むならば何でもしよう、けれどそれまでは待とうと思っていた。

だが、もう限界だ。

出来る限り、「ヤクザの組長」ではなく「一男」として琥珀と相対したかったが、ほんの少し「力」を使わせて貰うとする。

白皙の頬を流れる涙を見た瞬間から、近藤は確信していたのだ。

琥珀は自分の物になる、と。

   
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