三城×幸田・新春湯煙殺人事件・編・1
(プロローグ)



正月を終えてしまうと幸田は急に忙しくなる。

大学受験も佳境に入るからだ。

高校一年生を受け持っている幸田も受験生のサポートに回るし、受験生を受け持っている教師の雑用も任される。

去年もこのシーズンは休みが取れず、極たまにある休日はひたすら布団の中で過ごしていた。

そんな幸田を見越して、正月3日4日に旅行に行こうと提案したのは三城だった。

「新婚旅行もまだだしな。こういう事はしっかりしておかないと。」

それを言うならば結婚式もまだだったが、「それならするか?」と言いかねない三城の性格を思うと口を閉ざさるを得ない。

余計な事を言って痛い目を見るのは幸田自身なのだ。

仕事初めは幸田が4日、三城が6日。

3日の日に出かけて4日も昼過ぎに戻れば夕方から予備校に向かえる。

強行スケジュールとしか言いようはないが、この気を逃すと春まで時間が取れない事もあり幸田も了承した。

旅行どころか日常に会う事すらままならなくなるだろう。

三城もまた決済時期になると多忙が予想される。

12月も終わりになる頃、二人は手近な温泉宿に予約を入れたのだった。



*目次*